2018年1月17日水曜日

「芸術の現場から」(県民公開授業)

2018年1月16日の授業では、
NPO法人映画保存協会代表の石原香絵先生にお越しいただきました。


今回は「映画資料のためのミュージアム――ICOM京都大会(2019)に向けて」というタイトルで、現在進行形の活動内容を紹介してくださいました。

ICOM(イコム)は、International Council of Museums(国際博物館会議)の略称です。1946年に設立されたNGO(非政府機関)で、テーマごとに30の国際委員会、地域連盟、関連団体等が組織されています。


石原先生は、その中のAVICOM(アヴィコム)「視聴覚、新技術、ソーシャルメディアの国際委員会 International Committee for Audiovisual, New Technologies and Social Media」のコンタクトパーソン(窓口担当)として、日本と世界をつないでいます。


3年に1回、世界各地で大会が開催されますが、次回の開催地は京都です。プロモーションビデオも見ながら、その取組みの様子をうかがいました。

海外では数多くみられる大規模な映画博物館が日本ではまだあまり整備されていない現状や、京都大会をきっかけとした普及活動についても教えていただきました。


被災した映像資料の救済を呼びかける映画保存協会のチラシも配布されました。
このチラシは、次回講師の一人、小森はるか先生によるデザインです。

今回の授業では、国際的な視点から、また博物館という枠組みにおいて、映画・映像資料の位置づけを学びました。

石原先生、まさにホットな現場の話題をどうもありがとうございました。

2018年1月12日金曜日

「芸術の現場から」(県民公開授業)

2018年1月9日の授業では、
デザイナーとしてご活躍の黒瀧千絵先生にお越しいただきました。


 今回は「デザインのおしごと。はたらき方、つきあい方」というタイトルで、学生時代から会社員、そしてフリーランスとしての現在に至るまでを、受講者である学生の現在、そして将来へと重ねていくかようにお話してくださいました。


黒瀧先生は、東京藝術大学工芸科で彫金を学び、ジュエリー関係の会社に勤務、若い女性向けのジュエリー、アクセサリーや時計のデザイン、また買い付けのお仕事もこなし、その後スポーツ・アウトドア用ウェアの会社で女性向けのアパレルデザインも手掛けられました。


現在では、フリーランスのデザイナーとして、アパレル全般関係の企画デザイン、グラフィックデザインのほか、企画上のディレクションも行うという幅の広さです。このご活躍の秘訣はどこにあるのでしょうか。それは学生時代の勉強とバイトにあるそうです。学生時代に大学で自分の好きなことを学び、またバイトでカメラや時計の販売などに関わり、撮影技術や時計、接客方法などを学んだことが現在の仕事に活かされているそうです。「人生でどんなことも、これまでにやってきたことはすべて、無駄なことなんてひとつもない」と学生たちに語りかけてくれました。


ご経験をもとに、会社員とフリーランスの利点・不利点の比較も図解してくださいました。

自分のやりたいことが分からなかったり、将来が見えなかったりして悩んだときの対処法についてもアドバイスをいただきました。もし解決の糸口が見つからなくても、自分の気になっていることを書き出して、それを眺めているだけでもいいという励ましの言葉も。

現在は専門性の高い派遣社員として、某時計会社で腕時計のデザインもなさっています。将来の展望について質問があったとき、まだやりたいことが沢山あって決められない、現実の厳しさもあると返答に悩んでいられたご様子に、学生たちは長年実績を積み重ねてこられた方の背中を見たような気がしたのではないでしょうか。

黒瀧先生、学生たちに寄り添ったご講義をどうもありがとうございました。