2022年8月10日水曜日

R4「西洋美術史実地研修1」第4回研修

第4回研修は7月にリニューアルオープンした群馬県立近代美術館へ。 企画展「うるわしき薔薇―ルドゥーテを中心に」と常設コレクション展を見学しました。

鑑賞前には学芸員の方々から企画展・常設展についてレクチャーいただきました。
 
 企画展は薔薇をテーマにしたル・ドゥーテの版画「バラ図譜」を中心に、戦後日本の育種家・鈴木省三による「バラ花譜」の二口善雄による挿絵の水彩原画、資生堂の調香師の本のための群馬出身の写真家・石内都による薔薇の写真という三部構成。
 企画の苦労話や予算面といったここならではのお話もあり、また、版画など紙の展示の場合、保存のため照度を100ルクスに落とすが、今回、ルドゥーテの版画の展示ではさらに50ルクスにまで落としているなど、作品の展示と共に保存を担う美術館としての配慮などについても伺えました。

常設展のレクチャーでは、コレクションの収集方針や今回、出展されているピカソによる「ゲルニカ」をタピスリーにした「ゲルニカ・タピスリー」を中心にお話いただけました。
 布や紙など繊細な素材の作品は、保存上の問題から年間展示日数が定められています。
そのため「ゲルニカ・タピスリー」は群馬県立近代美術館では毎年年一回、夏のコレクション展で展示され、展示室の照度も100ルクスに落とされていると教わりました。
 このほか今回の常設展では、今年、生誕110年を迎える群馬出身のオノサトトシノブの特集展示やルドンの版画作品が展示され、日本美術セクションでは企画展に合わせて「花いろいろ」という特集展示がされていることなどを予習できました。

 鑑賞は企画展から。(展示室撮影には許可をいただいております)ルドゥーテによる精緻な版画作品に食い入るように眺め入ります。
薔薇の歴史で始まり、作品は薔薇の種類別に展示されていました。ルドゥーテの版画は多色刷りに更に水彩で補色されていますが、事前のレクチャーによると、その補色は主に女性たちが担っており、近年、ルドゥーテの出身地フランスでは彼が女性画家たちを育てたという功績が注目を浴びているようです。

 ルドゥーテの作品に続けて二口の水彩画を見ると、二口の作品にはどこか琳派など日本の花鳥画の伝統を感じさせるところがあるのに気が付かされます。最後のセクションは石内さん自身がインスタ―レーションした薔薇の写真とビデオアート。植物学や園芸への関心から咲き誇る姿が描かれたルドゥーテや二口の植物画と異なり、萎れゆく姿をもとらえた写真は逆に薔薇の生命力を写し取っているようです。

お昼休憩をはさんで、午後は2階に展示されている常設コレクション展へ。
まずは日本と西洋の近代絵画から。

中央のロダンによる彫刻を眺めたり、メモをとったり。
「ゲルニカ・タピスリー」も本館では至近距離で鑑賞でき、その大きさを感じるとともに、細部までじっくり観察できました。
展示に合わせて「ゲルニカ」の制作経緯やピカソによる初期構想を表すデッサンなども展示されており、制作の過程を知ることも。
  
オノサト・トシノブのシルクスクリーンによるカラフルな抽象とルドンの黒を基調とした幻想的な版画シリーズが続きます。


現代絵画セクションでは、福田美蘭《リンゴとオレンジ》、上田薫《なま卵》、草間彌生《レペティティブ・ヴィジョン-ファルス・ボート》と目玉作品などがそろって展示されているという充実した内容でした。
日本美術セクションとの間にも現代美術の立体作品が展示されていました。
 
 一人作品と向き合ったり、あるいは友達と話し合ったり、磯崎新設計の静謐な空間のなかで充実した時間が過ごせたようです。

2022年8月8日月曜日

富岡市立美術博物館で「アートマネジメント演習1」受講生が「第8回 夏休みわくわくワークショップ」を開催しました

 7月24日(日)に富岡市立美術博物館で「第8回 夏休みわくわくワークショップ」を開催しました。

例年3,4年次対象の「アートマネジメント演習1」の授業で、

子ども向けのプログラムを開発し、美術館で実践を行う活動です。

今年は4つのグループがそれぞれプログラムを開発して実践を行いました。

まだコロナ禍ということもあり、予約制、定員を設けての開催でしたが、感染対策をしっかりと行い、安全に実施することが出来ました。





参加されたご家族の皆さんは思い思いの造形を楽しみ、
学生は個々に合わせてアドバイスや声がけを行っていました。

「暗闇で光る」、「魚釣りを楽しむ」など夏らしいプログラムが体験出来て
皆さんとても満足されたようでした。

授業で考案したことを実際にやってみることで、
様々な気づきがありますね。

来年もまた頑張りましょうね。