2016年11月11日金曜日

「芸術の現場から」

118日の「芸術の現場から」はシネマテーク高崎の総支配人の志尾睦子先生にお話をいただきました。

 
志尾先生は、本学美学美術史学科のOGで、大学で映画論の勉強をして、映画についての卒論を書いたことなどがきっかけで、映画に関わるお仕事をされるようになりました。
 
現在は、シネマテーク高崎のお仕事と、また高崎映画祭のプログラムでも重要な役割を果たされ、映画のまち高崎のために精力的に活動されています。単にまちの中に映画館があるだけにとどまらない、映画館を通じての人の交流やまちづくりや、映画館で映画を観る楽しさを語って下さいました。



また、イランの映画監督キアロスタミの初期の短篇を取り上げて、画面の中に全てが入ってくる映画の面白さを受講生に伝えて下さいました。

2016年10月31日月曜日

「西洋美術史実地研修2」第2回

2回目は上野公園にやって来ました!
ゴッホづくしの一日です。
雨天と寒さが心配されていましたが、それほどでもなくホッとしました。
午前中は「デトロイト美術館展」(上野の森美術館)。
ちょうどハロウィンのイベント開催中で、かわいいキャラクターたちと一緒に記念撮影。
事前学習の課題は午前・午後とまとめて4つ。



「デトロイト美術館について」「印象派と後期印象派について」「ゴッホについて」「ゴーギャンについて」。


おしゃれな入口の前で課題の発表。公園の木々の緑も映えます。
では、時事問題もふまえながら、いざ展覧会場へ。

印象派のモネやルノワール、後期印象派のセザンヌやもちろんゴッホ。いやいや、それだけじゃない。20世紀初頭の画家たちの作品もずらり。見ごたえのある展覧会でした。

午後は「ゴッホとゴーギャン展」(東京都美術館)。 

同じ時間と空間を過ごした、タイプの異なる二人の画家の作品を堪能しました。
 東京都美術館を会場に「デトロイト美術館展」監修者、千足伸行先生のご講演があり、聴講した学生もいました。
充実した一日となりましたね。

2016年10月15日土曜日

2016年度 「芸術の現場から」 安達朋子さん(ファッション)

2016年度の「芸術の現場から」がスタートしました。
第1回目は、安達朋子さんに講義をしていただきました。
銀座和光入社、イタリアに1年間の留学を経てフェラガモ・ジャパンへ。現在は、トレーニングマネージャーをご担当、全国のセールススタッフへのブランドアイデンティティ、販売スキル等を教育されています。

講義の内容は、学生時代のお話から銀座和光での貴重な体験、その後の人生に大きな影響を与えたイタリア フィレンツェへの留学。
そして現職フェラガモ・ジャパンにおけるブランド哲学など、大変興味深いお話を伺うことができました。


講義風景です



イタリア フィレンツェ留学時のお話
右下あたりの建物に住まわれていたそうです
「何をしたいの?」
フィレンツェ人からの質問に答えるために自問したことが、
今につながっているとのこと



さまざまな素材の試みや製造工程の分業制など革新的なことを
次々と導入していった
サルヴァトーレ・フェラガモ氏

             

愛用の靴をもとにフェラガモ氏が靴にこめた哲学を説明



顧客であったオードリー・ヘプバーンからイメージされ生まれた靴




2016年10月11日火曜日

「西洋美術史実地研修2」(第一回)

いよいよ後期授業が始まりました!

「西洋美術史実地研修2」の初日は六本木の国立新美術館です。
雨天、列車遅延などありましたが、なんとかスタート。

「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展
日伊国交樹立150周年の今年は、イタリア関係の展覧会が盛りだくさんです。
ヴェネツィアの歴史と美術、アカデミア美術館について事前学習してから見学へ。
ベッリーニやティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ…。美術史の教科書に出てくる「巨匠たち」の絵画が並んでいました。
ヴェネツィアの画家たちの色彩表現、サイズの大きさにも圧倒されました。

「ダリ展」
ルネサンスを離れて、別世界に。
ダリの生涯と作風、シュルレアリスムについて事前学習。事前学習の発表をするのも、それを聴くのも勉強になります。
展覧会は、初期から晩年までが順を追って構成されていて、変化に富むさまは、追いつくのに息もつけないほど。ダリの魅力、全開です。
タイプのまったく異なる2つの展覧会。
さて、研修後レポートにはどの作品を選ぶのでしょうか。

2016年8月6日土曜日

28年度 西洋美術史実地研修1 第4回研修

 
さて、前期最後の実地研修です。
午前中は六本木のサントリー美術館で「オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ展」。 
   アールヌーヴォーのガラス工芸家は日本でも人気が高く、今回の展覧会もサントリー美術館所蔵作を中心に構成されていました。
 
まずはエミール・ガレ自身についてと彼の「異国趣味」について事前発表。
 
ガレの活動した時代はヨーロッパでのジャポニスムの流行期。
日本で読まれるガレに関する著作の多くはガレの異国趣味をジャポニスムという側面で語りがちですが、今回の展覧会ではイスラムや中国のガラスや陶器の影響なども、ガレ自身のコレクションとそれに触発を得て作った作品とを並列することで示すなど、近年のフランスでのガレ研究の成果が盛り込まれていました。
 今年は生誕170周年ということもあり、春先には東京都庭園美術館でもガレ展が開催されていました。あちらはガレと庭というテーマで主に花をモチーフにした作品やそのデッサンが展示されていたのに対して、本展では、ガレの昆虫や水中生物への関心(論文まで書いていたんですね!)を取り上げ、子どもの頃からの探求心がいかにデザインに結びついたのかを追った企画。
 
芸術家の生誕や没後の記念イヤーは多くの展覧会が開かれますが、同時にそこへ向けて芸術家研究が進展する良い機会でもあるのです。
 
さて、午後はなんと横浜まで遠出。

まさに猛暑という日差しに照らされた横浜美術館。館前の広場では子どもたちが噴水で水遊び。
 
今回の企画展はアメリカ出身の印象派画家メアリー・カサットの35年ぶりの日本での回顧展です。
(35年前に回顧展が開かれていたのですね!)
 
さて、カサットってどんな画家なのでしょう? この時代、女性画家って珍しいかも。
ということで、しっかりみんな調べてきてくれていました。
アメリカ出身のカサットは当初は伝統的な絵画を学びにヨーロッパに来たものの、ドガとの出会いから印象派の仲間となった画家です。印象派には他にマネの義妹ベルト・モリゾや短命に終わったブラックモン、エヴァ・ゴンザレスなどの女性画家がいます。当時、ヨーロッパでは女性は国立の美術学校では学べず、女性向けの主題とされた「静物画」や(主に家族の)「肖像画」を描くものとされていました。

カサットは主題面では「母と子」や家族といった女性的な主題を描きつつも、大胆な筆使いや構図の取り方など、アカデミックな母子像に見られるのとは異なる自然な子どもの様子を描くなど、当時としては革新的な存在でした。また、版画作品はどこか同時代の白黒写真を思わせる陰影の工夫がなされていたり、表現者として模索していた様子が窺えます。晩年には、アメリカの女子の美術教育に携わったり、シカゴ万博で大規模な壁画を任されました。

 
印象派という呼び名は当時は批評家の悪口から始まり、画家たちは自分たちをアンデパンダン(フランス語で「独立した」「自立した」)と呼んでいたそうです。
カタログに掲載されていた彼女とドガに関する逸話。傲慢で短気なドガと誇り高いカサットは喧嘩が絶えなく、友人の1人がなぜドガのような人物とつきあえるのか?と尋ねられたカサットの答えが秀逸です。「それは私が自立しているからです」と。
画家としても人としてもまさにアンデパンダンだったんですね。

2016年7月31日日曜日

西洋美術史実地研修1 第三回研修

7月初旬、東京国立博物館で始まったばかりの「古代ギリシャ展」と東京都美術館で開催中の「ポンピドゥー・センター傑作展」で、第三回目の研修を行いました。

まずは「古代ギリシャー時空を越えた旅」。

古代ギリシャ美術については、みな1年生の必修授業「西洋美術史概説1」で習っているけれど、どれだけ覚えていたかな?
まずは入館前に事前レポートで学習してきたことを確認。

古代ギリシャの壺絵の代表的な様式である黒像式と赤像式の違い。褐色系の地に人物像が黒く描かれているのが黒像式、逆に黒地に人物が赤く浮き出しているのが赤像式。
 それから古代ギリシャの人体表現についても確認しておきます。
 
今回の展覧会は全点、ギリシャの美術館から出展です。
いわゆる大作はないけれど、。紀元前7000年に始まるエーゲ海文明から紀元前1世紀のヘレニズム、古代ローマにおけるギリシャ文化の影響までという約7000年に及ぶ流れが、多種多様な作品により丁寧に追われていましたね。
最後のセクションはちょうど春に行った「ポンペイの壁画展」でギリシャ文化の影響を受けた神話主題の壁画など見てきたところなので、つながったのではないでしょうか?
 

午前の紀元前の7000年間に次いで、午後は一気に時代をくだり、20世紀の70年間を扱った展覧会「ポンピドゥー・センター傑作展」へ。


事前学習でポンピドゥー・センターそのものについての発表。
1977年に開館した同センターは世界有数の近現代美術コレクションを誇る美術館であるだけでなく、美術や音楽、ダンス、映画など、さまざまな芸術の拠点でもあります。


設計はイタリア人建築家レンゾ・ピアノとイギリス人建築家リチャード・ロジャースが手がけ、配管や階段、エスカレーターなどが外観と内部に剥き出しになった前衛的な建物として、パリの石造りの旧市街のなかで異彩を放っています。
名前は前衛美術に造詣が深く、計画を後押しした当時の大統領ポンピドゥーの名前をとっています。
 
ちなみにこの子たち「リサとガスパール」のリサの住まいでもあるのです。
 
ポンピドゥー・センターについて学んだ後は、20世紀美術のいくつかの運動についても確認しておきます。印象派以降の近現代美術ハ、次々と色々な動きが出てくるのが特徴。
オルフィスムってなんだろう? アンフォルメルって聞いたことがあるかな?
オルフィスムはキュビスムから生まれたけれど、キュビスムの代表格ピカソやブラックの作品には見られない色を使っているのが特徴。今回はその代表的な作家ドローネーの代表作「エッフェル塔」が来ていました。
フランス語で「非定型」を意味するアンフォルメルは、第二次大戦後、ヨーロッパで生まれた芸術運動。形が失われるほど抽象化を進めた作品などが作られ、時代背景もあり、形を失った人体表現が見られます。表現主義的な表現があることから、幾何学的でクールな抽象絵画に対して、「熱い抽象」とも呼ばれました。
 
今回の「傑作展」は、1906年からセンターが開いた77年までの近代美術の流れを、フランスで活躍した芸術家を中心に、1年1作家1作品という構成で辿るという、とてもユニークな企画展。
そのため展示デザインも、パリを拠点に活躍し、各国の美術館建築を手がけたこともある建築家・田根剛氏が担当し、意欲的な試みがされていました。
各セクションはフランスの三色旗(赤・青・白)に基づいて壁の色が変えられ、時代の雰囲気が伝えると同時に、作品を引き立てる色の選択がされていました。
また最初の2フロアは壁がジグザグに設置されることで作品の傍にある作家のポートレートや言葉とともに一作ずつ向き合えるようになっていたり、最後の真っ白なフロアは中央に置かれた輪の形の台に作家の言葉、その台と対面する壁にその作品が展示され、部屋の真ん中から言葉と作品を同時にとらえられるようになっていましたね。
 
1945年、第二次大戦の終わった年が絵画でも彫刻でもなく、その年に発表されたエディット・ピアフのラヴィアンローズ(バラ色の人生)というのも、その前年が解放されたパリで抱擁する恋人たちを写したゼーベルガーによる写真、その次の年がアンリ・ヴァランシによる音楽を視覚化した薄いバラ色の作品というのも、考え抜かれたセレクションの展覧会でした。
 
さて、次回は最終回。どんな作品と出会えるでしょうか?


2016年7月29日金曜日

美学美術史学科ってどんなところ?

 美学美術史学科では、美学、日本美術史、西洋美術史、美術実技、アートマネジメントの各分野を学ぶことができます。
 
 全国の芸術学系学科の中で、これほどの幅広さをもつ学科は珍しいといえます。なお、実技科目は必修ではなく、美術実技の能力がないと入学後の学習・卒業に支障を来すということはありません。

(3年次以降に各分野の先生のゼミに分かれ、卒業論文の準備をしますが、実技ゼミでは実技を学び、卒業制作により卒業します)。

 学内の教育・研究だけでなく、ワークショップなど学外での活動、地域との連携などを多彩に行っているのも特色の一つです。
 このブログとツイッター https://twitter.com/aesth1 では、そうした学科の活動の最新ニュースを紹介しています。
 
 学科のより詳しい紹介は、本学HPの学科案内ご覧ください。
 http://www.gpwu.ac.jp/~aesth/index.html