2017年11月1日水曜日

「芸術の現場から」(県民公開授業)

1024日の講師として、野尻浩二先生(ホルベイン画材株式会社 商品企画室室長)にお越しいただきました。


ホルベイン画材株式会社は、ルネサンス時代のドイツの画家にちなんで命名された、洋画材料専門の老舗です。
油絵具や水彩絵具をはじめ、さまざまな画材を扱っています。
画材の販売以外にもアーティストとのコラボやワークショップ、また若いアーティストの育成なども手掛けています。
野尻さんが室長をなさっている商品企画室の活動は、商品開発というよりも、顧客への間口を広げていくことだそうです。


今日、描画の方法もデジタル化が進むなか、画家を含め、絵具やキャンヴァスといった画材を使って絵を描く人達や画材職人の高齢化と減少、後継者不足、また初等・中等教育における美術授業時間の削減などにより、絵画人口が減少している現状があります。
そこで、商品企画室では、新たな切り口から、幅広い層の人達に美術に親しんでもらおうと多様な企画を立ち上げています。

たとえば、画期的な発想から生まれた、石膏像のアイドルユニット「石膏ボーイズ」。ザリガニワークス、KADOKAWAとの共同企画によるもので、2015年度に結成され、昨2016年にはアニメ化もされました。

本学の「石膏ボーイズ」(?)も授業に参加しました。

昨年秋、本学では展覧会「石膏像を見に行こう!」を開催しました。その際に、現代における古典彫刻の受容として「石膏ボーイズ」を紹介し、ホルベイン画材株式会社にご協力いただきました。

野尻先生、幅広い内容のご講義をどうもありがとうございました。

「西洋美術史実地研修2」第2回

第2回(10月21日)は、東京の美術館に行きました。

今回も雨。さらに列車の遅延も重なって大変な朝の集合。
東京ステーションギャラリーが駅の改札口を出て直ぐにあって本当によかった!
丸の内北口のドームもゆっくり眺められました。



ここでは「シャガール 三次元の世界」展を見学。

事前学習は、もちろん「シャガールについて」。
それから「辰野金吾と東京駅建設、ステーションギャラリーについて」。

東京駅に来たからには、駅の建築や設計者のことも学びましょう。
丸の内南口のドームも見ていきましょう。



シャガール(1887-1985)といえば、幻想的な色彩の絵画が有名ですが、この展覧会は白い立体が主役。赤い煉瓦の壁を背景に、いくつもの大理石のかたまりや柱が月夜に照らし出されているようでした。
彩り豊かで自由な造形の陶器、立体に連動する平面の絵画もひとつになって、調和ある展覧会でした。



午後は三菱一号館美術館。薔薇咲く中庭のわきで雨宿りしながら再集合。
「パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展」を見学しました。
数日前に始まったばかりの展覧会です。


向かいの建物内で事前学習の発表。まずは「ロートレックについて」。
それから「ジョサイア・コンドルと三菱一号館、美術館について」
旧三菱一号館は、辰野金吾が師事したお雇い外国人ジョサイア・コンドルによる設計です。
歴史資料室では、コンドルの設計図も見ることができます。


展覧会会場には、写真撮影可の部屋もありました。流れる音楽も心地よく、ロートレック(1864-1901)の作品と並んで記念撮影をしている来場者の姿も見られました。

この展覧会のテーマは版画ですが、浮世絵など日本美術と比較しながら鑑賞するのも面白いですね。この研修では「葛飾北斎とジャポニスム展」(国立西洋美術館)も見学する予定です。

雨の東京駅

2017年10月17日火曜日

「芸術の現場から」(県民公開授業)

10月17日の授業では、セゾン文化財団のプログラム・ディレクター、久野敦子さんにお越しいただきました。
セゾン文化財団は、現代演劇・舞踊を専門に支援する日本では唯一の財団で、 1987年に設立されました。久野さんには、現代的・実験的な舞台芸術の表現を支える財団のポリシーと、「助成」という事業の仕組み、行政による文化政策との違いなどをわかりやすくお話しいただきました。
必ずしも資本主義にはなじまない、まだ一般に価値が認められていないもの(新しい価値の創出)を支援する、という財団のポリシーと、それを実現していく上で必要となる様々なステップについて、よく理解することができました。
財団が助成してきた中から、そうした先端的な表現の数々もご紹介くださいました。実験的な演劇・舞踊・パフォーマンスの動向と、国際的な視野にふれることができました。

2017年10月12日木曜日

「西洋美術史実地研修2」(後期授業)が始まりました!



第1回は上野公園の美術館に行きました。
小雨のぱらつくなか、上野の森美術館前に集合。「怖い絵」展初日です。
開催時間前から長蛇の列。通常は別途時間を設けるのですが、今回は並びながら事前学習の発表をすることになりました。発表者の人達、緊張しましたね。。中野京子さんの『怖い絵』や展覧会第5章「崇高」について調べておきました。


  



午後は東京都美術館「ボストン美術館の至宝」展へ。最終日直前とあって、中はかなり混雑していました。事前学習は、ボストン美術館と1920世紀のアメリカ美術について。西洋美術史の授業では珍しいことですが、今回は古今東西の作品を見学できて、美術に対する関心もさらに広がったのではないでしょうか。
雨も止んでほっとしました。

  


2017年10月11日水曜日

2017年度「芸術の現場から」(県民公開授業)


県民公開授業「芸術の現場から」(後期授業)が始まりました!
この授業は、芸術のさまざまな分野で活躍する、また群馬にゆかりのあるアート関係者から、ホットな話題を自分の体験とともに提供していただくリレー講座です。

リレー講座1回目(1010日)は、二人の館長にお越しいただきました。

秋山光文先生
榊原悟先生

秋山光文先生(写真左)
目黒区美術館館長、お茶の水女子大学名誉教授、放送大学東京足立学習センター客員教授、本学非常勤講師(「東洋美術史概説」)。専攻:インド古代仏教美術史。

榊原悟先生(写真右)
岡崎市美術博物館・おかざき世界こども美術博物館館長、本学名誉教授、元サントリー美術館学芸員。専攻:日本美術史(絵画史)。

お二人は早稲田大学で美術史を専攻した同期生でもあります。



この授業では、それぞれの美術館、美術博物館の組織や運営、また館長としての業務、ご自身の専攻とのつながり等について詳しくうかがいました。どちらも行政区域(市・区)の名を冠する美術館や美術博物館ですが、一口に館長業務といっても、相違点も多々あることがわかりました。また、館長トークによる社会貢献や、学芸員の仕事の醍醐味も教えていただきました。

 

最後に学生へのメッセージをいただきました。
秋山先生からは「物を見る目を養うこと」、そして榊原先生からは「批判精神を培うこと」。
お二人の熱い呼び掛けは、きっと学生たちに届いたことでしょう。

秋山先生、榊原先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。