「西洋美術史実地研修2」の授業では、2022年1月9日に第4回の見学実習を行いました。今回の見学先は、群馬県立館林美術館です。
同美術館では、開館20周年を記念して昨年11月から「フランソワ・ポンポン展」が開催されています。
別館「彫刻家のアトリエ」 |
美学美術史学科では、美学、日本美術史、西洋美術史、美術実技、アートマネジメントの各分野を学ぶことができます。このブログとX(https://x.com/aesth1)では、学科の活動の最新ニュースを紹介しています。学科のより詳しい紹介は、本学HPの学科案内をご覧ください。 https://www.gpwu.ac.jp/dep-pos/dep/lit/art/index.html
「西洋美術史実地研修2」の授業では、2022年1月9日に第4回の見学実習を行いました。今回の見学先は、群馬県立館林美術館です。
同美術館では、開館20周年を記念して昨年11月から「フランソワ・ポンポン展」が開催されています。
別館「彫刻家のアトリエ」 |
10月25日、毎年恒例のだるま工房に「アートマネジメント演習2」の授業で
見学に行きました。
ひさびさの学外学修で学生たちもうれしそうです。
工房の中喜屋さんの峯岸様より、群馬の達磨をはじめ全国の達磨についての
お話をしていただきました。
達磨館に展示された数多くの達磨に圧倒され、充実した時間を過ごすことができました。
また、工房のほうでは実際に達磨ができていく過程を見学することができ、
実りのある活動となりました。
各自で創作だるまを作りました。
群馬の伝統文化に身近にふれることから、今後の授業にいかしていただきたいです。
毎年峯岸様には大変お世話になっています。
ありがとうございます。
今回(11月20日)は、県内の高崎市美術館を見学しました。
高崎市美術館入口にて |
同美術館では、現在、展覧会「版画でめぐる印象派とその時代 マネ、ルノワールからゴーギャンまで」が開催中です。19世紀後半のフランスを彩った画家たちは、版画ではどのような作品を残したのでしょうか。
学芸員の方によるレクチャー |
旧井上房一郎邸と美術館建物 |
10月15日より、会期延期後ですが、中之条ビエンナーレが始まりました。
今年は町民アートプロジェクトへの作品出品として関わらせていただきました。
場所はイサマムラ交流館になります。
作品はこれまで行ってきた中之条の魅力を発信するものを
作品としてまとめました。
こんな作品です。
「勝手に中之条"空想"ステキ発信プロジェクト」
コロナ禍において、大学生の日常生活は遠隔授業の実施や学外活動が困難になるなど変
貌を遂げた。今年はその状況を逆手に取り、女子大生たちが中之条のステキな人、モノ、
場所などを大学内で勝手にリサーチして空想し、情報発信を行うことを試みる。会場では
来場者にフローチャートを体験してもらい、おすすめスポットの提案を行う。また、実際
にビエンナーレ期間中は2013年から継続しているブログでの情報発信を行う。こちらも合
わせてぜひ楽しんでいただきたい。
詳しくは下記の外部サイトへ
【会場】群馬県中之条町 町内各所
【期間】2021年10月15日(金)-11月14日(日)の31日間 9:30-16:00
【パスポート】当日1500円 / 高校生以下 鑑賞無料
【内容】温泉街や木造校舎など町内各所で絵画、彫刻、写真、インスタレーション等の展示、パフォーマンスを開催
主催:中之条町 / 中之条ビエンナーレ実行委員会 / 中之条ビエンナーレ運営委員会
7月19日、ゲスト講師の最後は、片山真理先生を迎えて行いました。
片山先生は本学美学美術史学科を卒業後、東京藝術大学大学院研究科先端表現専攻に進学、修了作品が「アートアワードトーキョー丸の内2012」でグランプリ受賞。現在、国内外の多くの展覧会に出展されている、日本を代表するアーティストのお一人でもあります。
2019年にユナイテッドヴァガボンズ社から出版された写真集『GIFT』を出版。国際展の中でも歴史ある第58回ヴェネツィア・ビエンナーレの企画展「May You Live in Interesting Times」に招待されました。出版及び存在感ある展示が評価の対象となり、第45回木村伊兵衛写真賞を昨年、受賞されました。
講義は、前半が主に大学時代までについて、後半は卒業後の制作活動や制作への思いを語り、前半と後半の終わりで質疑応答をはさむという、片山先生の提案による対話形式で展開しました。
はじめに、今の作品につながる系譜として、おばあちゃんやお母さん、みんながいろいろなものを自分で裁縫してつくるような環境で育ったこと、家族の服を裁縫している姿が身近にあり、自然に興味を持ったこと、片山先生も3〜4歳の頃から、チクチクと作りはじめたこと、針と糸があればなんでもできること、この楽しさが原点にあると話されました。
そして商業高校在学中、英語で日記を書いてSNSにあげていたことなどから始まり、進路の選択にあたり就職のための小論文を書くことが求められ、どうしても書くべきことが見つけられなかった。自身の義足に絵を描いていたことを進路指導の先生(美術を担当)が知り公募展を紹介され、応募することになった。その公募展とは、現在も若手美術作家の登竜門である「群馬青年ビエンナーレ2005」。片山先生は当時16歳、作品を見せるためにあまり意味なく使用していたイーゼルも展示されることになった『足をはかりに』で見事、入選を果たし、奨励賞を受賞。
この受賞が、就職ではなく進学、つまり本学の美学美術史学科を選択することにつながったそうです。
本学在学中、服飾部に入って実技棟でファッションショーを企画したことや、バンド活動をしていたこと、通学の途中、運転する車内から撮影していた写真を映しながら当時のことを話されました。
撮影の対象は人間がつくったものが多く、「人間はなんでもできる」そんなことを考えながら、次第に「人間」への興味が湧き、自身の身体について考えるようになったそうです。
前半の講義の後、ここで大学時代について質疑応答の時間になりました。
「どの科目を履修していましたか?」という質問に対しては、実は片山先生は、実技科目などはほとんど履修しておらず、当時教壇に立っていた美学担当の教員の思い出や、語学にとても興味があり、多くの言語を履修していたことを話されました。
講義の後半は、大学院を出て作品にどう向き合っているかが話題の中心に。
大学院進学にともない、群馬から離れて暮らすようになったこと、同時に車を手放したこと、群馬=車社会であることから、片山先生にとって、車を手放すことは一種のアイデンティティの喪失ともいえるほど大きな体験だったことが語られました。
その後、社会に出て経験を重ねていく上で、重要なものを失うことが、今まで「自分らしさ」とは何かという強い意識から、むしろ「自分がない」ことを強く実感するようになり、本質的なオリジナリティを突きつめることを意識するようになったそうです。
ここで紹介された作品が、2014年にTRAUMARIS|SPACEで発表された初の個展『you’re mine』。
自身を型取ったオブジェ、ナチュラルではない不自然なセルフポートレート、合わせ鏡を用いたインスタレーション作品。合わせ鏡に移る永遠性、続いていくことの怖さなどもコンセプトとしていたことなどを説明され、ターニングポイントとなった作品でもあるそうです。
ここ数年は、風景を撮影していること、きっかけは出産を機に家を片付けたことであり、残ったものがカメラだけ、ここから何ができるのか、生まれ育った群馬を、作品をとおして見つめ直すことなどがテーマになっています。
依頼される場が広くなると、作品にそれなりのボリュームが必要になります。一方で、自分には、できることとできないことがある。できないことはできる人に任せればいい。ここ最近は、そのような考えで制作を行っていると話されました。
写真集『GIFT』にある1枚。生まれる前から、生まれた子供のことを考えながら制作したオブジェ。片山先生や配偶者の指を転写した布などでつくられています。
願いを込めて作った作品の展示を終え、もしかしたら子供にとって、この作品は欲しくないものなのかもしれないと感じたそうです。そんなことを考えていた時に、「GIFT」という言葉は、ドイツ語の意味に「毒」という意味もあることを知り、腑に落ちたことで『GIFT』とタイトルをつけたと話されました。
『cannot turn the clock back #009』 2017 (c)Mari Katayama
この1年は、日本を含め、世界中のどこかで片山先生の作品をみることができるそうです。
最後の質疑応答での「写真が上手くなるにはどうすればいいですか?」という質問に片山先生は、
「いろいろな作品を見ること、授業科目の中で写真に関するものなどがあればいいな」と答えました。
講義の中で繰り返された「自分らしさとは何か」「合成ではないこと、合成するならやってない」
「クリエイティブに壊すこともできる」など、心に響く言葉が多くありました。
身近に感じる先輩の貴重な講義、大変有意義な時間になりました。
ありがとうございました。
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ポスター下:「千手観音菩薩坐像」 |