2024年5月9日木曜日

2024年度「芸術の現場から」 プロジェクトコーディネーターの竹丸草子先生によるご講義

5月6日は、本学卒業生でプロジェクトコーディネーターの竹丸草子先生(アーツカウンシル東京 事業部事業調整課 社会共生政策担当係長)にお越しいただきました。
美術教育、アートプロジェクト分野でのコーディネート論がご専門です。

ご講義は「アートと人々が交わる場のコーディネート アーティストワークショップ実践現場から考える」と題して、コーディネーターの定義づけとともに、具体的なワークショップの事例を紹介してくださいました。

竹丸先生は、コーディネートの概念である「各部を調整し、全体をまとめること」に、新たに「つくる 場をつくる/関係性をつくる」ことを追加して、従来の概念を拡張し、「場づくりのコーディネート」を提唱しています。
そこで、コーディネーターとは、「場を開き、場づくりによって、人とその人自身の外部との関係性を構築する人」であると定義づけます。

続けて、実践例を2つ紹介してくださいました。1つめは、彫刻家と子どもたちとをつなぐ「触覚による鑑賞ワークショップ」です。事前の周到な打合せを経て実施したワークショップでは、竹丸先生がファシリテーターとなって鑑賞への導入役を果たします。
子どもたちは、彫刻を触って自分で発見したことを他の子どもたちと共有するようになり、さらに彫刻家と対話することで制作の思考や態度をも共有していきました。

実践例の2つめは、福祉事務所でのアートプロジェクトです。ダンスや「ひみつ基地づくり」のワークショップによって、利用者たちの普段とは異なる反応を知ることで、職員たちの支援に関する考え方までもが変わるということが起きました。
これによって「アートを介した関係性の再構築」がなされました。

竹丸先生は、アートプロジェクトのコーディネーターは「そこにいる人々が自分らしさや専門性を発揮できるよう、働きかけ」、関わるすべての人々が「芸術的知性」によって創造的に、自分らしく生きるための「場づくり」をしているのだと解説します。


竹丸先生のご講義を聴講して、学生たちは、コーディネーターという専門家と、アートへの多様な関わり方についての知見が高まったようです。
竹丸先生、どうもありがとうございました。