2026年6月26日金曜日

6月15日 芸術の現場から ミヅマアートギャラリー エグゼクティブ・ディレクター 三潴 末雄先生

 6月15日の「芸術の現場から」では、日本、アジアの若手作家を中心に育成、発掘、紹介を続けるミヅマアートギャラリー エグゼクティブ・ディレクターの三潴 末雄先生にお越しいただきました。

昨日まで海外に行ってらした先生

まずは一年生が多いということもあり、ギャラリーとはどういうところか?というお話をされました。ミヅマアートギャラリーのスケール感や千葉にある作品の倉庫について。これまで北京やシンガポールで展開してきた海外のギャラリー、現地でオープンした理由や、日本のみならず海外アーティストとの交流のお話など、多くのご経験を語ってくださいました。

そして、企画ギャラリーと貸しギャラリー、プライマリとセカンダリの違いについても言及されました。このことは、授業でもまだ扱っていなかったので、おそらく初めて知ることが多く、学生もギャラリーの仕組みを理解できたのではないでしょうか。アート作品を展示し、見せて、販売まで行うという一連の流れから、実にアートギャラリーでは多くの仕事をされていることが伺えます。

多くの聴講生がいました

次はアートフェアの出展のお話もいただきました。
アートバーゼル香港やアートドバイといった国際的にも一流のアートフェアに参加し、その意義を唱えてくださいました。世界中の富豪が集まるアートフェアは、ギャラリーにとってもチャレンジングではあるが、その分世界にアーティストの名を知ってもらうには、得られるものも多いとのことでした。しかし、このようなアートフェアは、「平和だからこそできる」と、昨今の世界情勢も踏まえながらお話してくださったのが、とても印象に残りました。

そして、聴講生も興味津々できいていたのがアートオークションのお話です。
ホットな話題として、バンクシーの作品や、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品、日本人作家の小松美羽の作品など、何千万~何億とも根が跳ね上がるオークションの構造は、金銭感覚としては現実味がないくらい高額なものでしたが、そういった世界があるということと、アートの価値を考えさせられるものでした。

言葉の端々に名言がありました

三潴先生は、長年のご経験から、本講義でアートを学ぶ人たちに様々なメッセージをくださいました。「作品は、直接足で出かけて鑑賞する」、「Instagramはイメージに過ぎない」、「人が求めているものは、話題性のあるもの」、「アートの価値とは何なのか?千利休がかつて茶碗に価値を付けたように、価値を与えるものでもある」など。
あとからじっくりかみしめて考えたい言葉が多く貴重なお話ばかりでした。

これからも、多くのアーティストを発掘し、紹介し続けてください。
本日は、どうもありがとうございました。


2026年6月24日水曜日

6月8日(月)「芸術の現場から」 株式会社ルーデル AIプロダクション部 執行役員 角田徳秀先生 『生成AIとの向き合い方を学ぶ』

 2026年6月8日、株式会社ルーデル AIプロダクション部 執行役員の角田徳秀氏をお招きし、生成AIの活用に関する特別講義を行っていただきました。

講義では、角田氏が所属する株式会社ルーデルおよびレアゾングループの事業紹介をはじめ、広告事業、ゲーム事業、コンテンツ事業、研究開発、AIを活用した制作領域など、幅広い分野での取り組みについてお話しいただきました。

ゲーム開発、映像制作、画像解析、ロボット技術の研究開発など、生成AIやデジタル技術がさまざまな現場で活用されていることが紹介されました。

会社説明

特に、ゲームや映像制作の現場では、生成AIによって制作工程が大きく変化していることが示されました。キャラクターのポーズ変更、背景や画風の検討、動画生成、レタッチなど、これまで多くの時間と人手を必要としていた作業が、AIとの対話によって短時間で試行できるようになっています。角田氏からは、AIは「完成品をつくる道具」というよりも、制作の可能性を広げ、思考や試行の量を増やしてくれる存在である、というお話がありました。

また、生成AIを活用する際の考え方として、「Why=なぜ使うのか」「How=どのように使うのか」「What=何をつくるのか」という視点が示されました。AIを使うこと自体を目的にするのではなく、自分の目的やビジョンを明確にしたうえで、AIと対話しながら制作や思考を進めることが大切であると説明されました。

生成AIについては、山登りに例えた説明もありました。目的地となる「頂上」を人間が定めたうえで、AIはそこへ向かうための「ロープウェイ」のような道具として活用できます。ロープウェイを使えば、途中の道のりを効率化し、早く高い場所までたどり着くことができます。一方で、乗り方や行き先をよく考えずに使うと、自分が目指していた頂上とは違う場所にたどり着いてしまうこともあります。だからこそ、どの山を登るのか、どのルートを選ぶのか、どこをゴールとするのかを決めるのは人間である、という考え方が示されました。

山登りに例えた話

角田氏は、生成AIを使ううえで重要なのは「プロンプト」そのものだけではなく、人間の「判断」であると強調されました。AIは制作の速度を上げ、さまざまな案を提示することができますが、「何を目的とするのか」「どの案を選ぶのか」「最終的に発表してよいものなのか」を決めるのは人間です。「AIは"作る速度"を上げる。人間は"作る意味"と"良し悪し"を決める」という考え方は、制作に関わる学生にとって印象的な内容となりました。

著作権や法的責任についても、重要なお話がありました。生成AIは膨大な情報をもとに画像や文章を生成するため、「既存の作品に似ていないか」「誰かの著作物の権利を傷つけていないか」を確認する必要があります。角田氏からは、生成されたものをそのまま使うのではなく、最終的に世の中に出すものには自分の手を入れ、自分の責任で発表することが大切である、というお話がありました。

さらに、生成AIとの関わり方について、角田氏は「生成AIの使用は個々の自由」である一方で、「主導権は自分にある」ことを忘れず、礼儀正しく対話しながら活用することが大切だと話されました。便利な技術であるからこそ、使う側の姿勢や意識が問われることを学びました。

活用事例紹介


講義の最後には、学生から質問が寄せられました。学生たちは、生成AIを遠い技術としてではなく、自分自身の制作や学びに関わるものとして受け止めながら、真剣に耳を傾けている様子でした。

今回の講義は、学生たちにとって、生成AIを単なる便利なツールとしてではなく、自分の考えや表現を広げるための「考え方の手立て」として捉える機会となりました。生成AIとどのように付き合っていくのかを考える、貴重な学びの時間となりました。

生成デモ


2026年4月30日木曜日

4月27日「芸術の現場から」太田市美術館・図書館 矢ケ﨑結花先生

 芸術の現場から、講師の先生をお迎えしての講義は2回目となる4月27日。

毎年県内の美術館でお仕事をされている方に来ていただいていますが、

今回は太田市美術館・図書館の学芸員、矢ケ﨑先生にお越しいただきました。

そして公開講座ということもあり、たくさんの県民の皆様も聴講にいらっしゃいました。


まずは矢ケ﨑先生が、こちらでお仕事をされるまでのプロフィールをいただきました。
以前は長野県の美術館にもご勤務されていたことや、
大学では美学を専攻していたことなど、本学の学生にもつながる部分があり
とても興味深かったです。

次に太田駅の北口出てすぐにある美術館・図書館の紹介をしていただきました。
来年開館10周年を迎える施設は、全国でも珍しい図書館と美術館の複合施設です。
館が出来るまでの道のりや、施設内の様子、建築そのものにも触れ、
そのお話を聞いただけでもみんなわくわくしていってみたいと思える様子でした。

                   講義室が満員!
 

つぎは、展覧会が出来るまでのお話を、ご自身が担当された
原倫太郎+原游 バベルが見る夢」(2025年11月~2026年1月)
をもとにいただきました。
この展覧会は、らせん構造を持つ同館を「バベルの塔」に見立て、絵画の浮遊や映像の反復など、重力や時空をテーマにした没入型の体験空間を作り上げたものとおっしゃっています。
展覧会の開催に至るまでのプロセスを詳細に紹介していただき、
以前から作家のリサーチを行ったうえで、約一年前から準備をされていたと述べられていました。経緯を詳しく聞くことで、展覧会を見るだけではわからない
準備の大変さ、交渉の様子、学校連携の打診や調整、広報戦略、カタログ執筆、関連事業の実施などがよくわかりました。こんなにもたくさんの仕事があるとは!と
学生もびっくりすると同時に、学芸員として働くにはどんなスキルが必要なのか
考えさせられました。


最後は質問タイム。学生から活発な質問があり、
真摯にお答えいただきました。

矢ケ﨑先生の丁寧なお仕事ぶりをご紹介いただき、
現場の声を聞くことで、大変実りのある講義となりました。

このように、現場の皆さんの多大なる努力で展覧会は出来上がっていくのです。
ぜひ、そのような中で開催されている多くの展覧会を皆さんに見てほしいです。

矢ケ﨑先生、ありがとうございました。


2026年4月14日火曜日

新入生研修行事を行いました

 今年も本学科に新入生が入学しました。おめでとうございます。


3日の入学式の後、たくさんのオリエンテーション行事を経て、7日には

美学美術史学科の研修行事を行いました。

例年通りの内容ですが、1年生はとてもフレッシュで、生き生きとしていました。


まずは教員の自己紹介です。4月から着任された美学の鈴木亘先生。

先生もフレッシュです!


その後、学生の自己紹介をしてもらい、出身や好きなもの、推しなどを教えてもらいました。たくさん親しい友人が出来るといいですね!

その後は学科長の武藤先生が、Googleクラスルームの使いかたをレクチャーしました。
既に高校までに使ったことのある人が多くスムーズに。

その後は毎年恒例奥西先生による群馬県立近代美術館のアートカードを用いたゲームをしました。作品連想ゲームでは、初めてグループになった人同士で大変盛り上がりました!


そして、風が強く吹く中ですが、春の庭で記念撮影。


最後に実技棟や学内の展示などもグループに分かれて見学しました。
これから4年間、共に学んでいきましょう。


2025年12月8日月曜日

2025年度「西洋美術史実地研修2」第4回を実施しました

第4回(12月6日)は、東京駅周辺の美術館に行きました。

午前中はアーティゾン美術館を見学。
同美術館はブリヂストン美術館を前身として2020年に開館しました。西洋古代や近代の美術、また日本近代洋画のほか、現代美術までの幅広いコレクション作品を有しています。



見学にあたり、教育普及部学芸員の細矢芳氏が美術館の概要や開催中の展覧会について、またラーニングプログラムによる教育普及の活動や役割についてレクチャーをしてくださいました。

その後、展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」と「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 安井曾太郎」を鑑賞しました。


午後は三菱一号館美術館を見学。
同美術館は、1894年建設の洋風建築事務所を再現した建物で、19世紀末の西洋美術を中心としたコレクション作品を有しています。


まず、企画展「アール・デコとモード」を鑑賞しました。本年は1925年の「現代産業装飾芸術国際博覧会」(通称「アール・デコ博覧会」)から100年にあたり、博覧会のコンセプトと当時のファッションを関連づけた展覧会となっていました。
会場では、群馬県立館林美術館所蔵のフランソワ・ポンポン《シロクマ》たちとも出会えました。
その後、小企画展「フェリックス・ヴァロットン―親密な室内」の版画などを鑑賞しました。


今回の研修では、両美術館のスタッフの皆様に大変お世話になりました。
どうもありがとうございました。

2025年度「西洋美術史実地研修2」(学芸員課程科目「博物館実習Ⅰ」)は、今回の研修をもって無事に終了しました。(授業担当教員 藤沢桜子)



2025年11月22日土曜日

2025年度「西洋美術史実地研修2」第3回を実施しました

 第3回(11月15日)は、上野の国立西洋美術館を見学しました。

午前中は企画展「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」を鑑賞しました。印象派の作品というと、モネの《睡蓮》のように屋外のモティーフを思い浮かべがちですが、本展覧会では人物や静物など屋内のモティーフを描いた作品が多く集まっていました。

午後は常設展のほか、「フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”」と「物語る黒線たち―デューラー「三大書物」の木版画」もあわせて鑑賞しました。





2025年11月7日金曜日

「ユリノ木物語」プロジェクト2025:芸術学専攻の院生たちが大学祭で本学歴史の展示を行いました

 「ユリノ木物語 群馬県立女子大学の歴史研究」プロジェクトは、本学の玉村校舎移転後40周年にあたる2022年に発足し、本学の教員、事務局職員、学生の協働作業を通じて、本学の歴史的な価値や魅力を再認識し、学内外へ発信する活動を行っています。ユリノキは、本学の開学記念樹です。

噴水彫刻のメンテナンス

今年2025年は、本学の開学45周年にあたり、11月1日~2日に開催された大学祭「錦野祭」では、芸術学専攻の院生プロジェクトメンバーが中心となって展示を行いました。



展覧会は「45 年目のユリノキをみんなとー大学とアートの繋がりー」と題し、本学の日常風景に溶け込むアートを本学の特徴の一つと捉えて紹介しました。


教室会場では、建築業協会賞を受賞した本学建物や、「円形広場」の噴水彫刻の写真、図書館の卒業生寄贈によるシルクスクリーン、また、作品保存のために現在は取り外されている「春の庭」の日時計といったアート作品などを展示しました。


参加型コーナーでは、葉の付箋紙にコメントを書いてユリノキの絵に貼ってもらい、開学記念樹の3本のうち失われてしまった1本をよみがえらせました。

今年はイメージキャラクターとして「ユリノキ犬」と「ユリノちゃん」が登場しました。

来場者にはパンフレットを配付し、大学の屋内外の美術作品に関する調査の経過報告も行いました。

パンフレット表紙

会場では院生たちがガイドをつとめ、大学祭の2日間で卒業生や地域の方々など、300人以上の方々にご来場いただきました。