2024年4月25日木曜日

4月22日「芸術の現場から」群馬交響楽団 上野喜浩さん

 ゲストをお迎えしての二回目の「芸術の現場から」では、

群馬県民ならだれもがその存在を知り、子どものころから触れてきた

群馬交響楽団の音楽主幹 上野喜浩さんにご講義をいただきました。

上野さんのお仕事は楽団全般のマネジメントで、裏で楽団を支えるキーパーソンとなる方です。

楽団員や事務局の調整、演奏会の日程、曲目、演奏会のバリエーションを考えていったり、

広報活動や新たに楽団を知ってもらう様々な戦略を企画し、実践されています。

音楽を愛し、おおらかなお人柄で、これまで墨田区や京都での

ご経験も踏まえ、群馬で三年目の春を迎えました。


ご講義では群馬交響楽団と地域とのかかわりについて最も

重点的に触れた後、日本の様々な楽団についてデータを惜しげもなく

みせ、お話を進めてくださいました。

学生たちは必死にメモを取る姿も・・・やはり数字になっていると

楽団の立ち位置や強みが分かりますね。大変勉強になりました!


ご講義の途中では群響の動画もたくさん紹介してくれました。

NHK前橋放送局開局90年の節目に作られたテーマ演奏(ほっとぐんま630)や、

若手楽団員が伊香保を楽しみながら、演奏し、群馬の魅力を発信する動画も紹介してくれました。

https://www.youtube.com/watch?v=KFDIUnfTgZg

草津Verもあります!

https://www.youtube.com/watch?v=0Fa-vfhIGF8


最後はゆったりと時間を取っての質問タイム。

オーケストラに参加している学生や、つい先日の定期演奏会を聴きに行ったという学生もいて、質疑応答は大変盛り上がりました。

県民の方で聴講された方も、

「群響の舞台裏のお話を聞けて本当に良かった。また演奏会に行くときに

視点が変わりそう」と大変満足な様子でした。

今年もシーズンは始まったばかり、様々なコンサートが予定されています。

これからも多くの方に音楽を通して感動を届けてください!


上野さん、ありがとうございました。


2024年4月24日水曜日

4月15日「芸術の現場から」 ~いつかは「わたし」になれるの? 堀川理万子先生(絵本作家)

 4月15日、画家で絵本作家の堀川理万子先生にお越しいただきました。


1「幼少期の絵画と海のアトリエについて」

 講義は、堀川先生の幼少期(幼稚園の時)の絵画作品「青いみかんとバナナ」を見せていただきながら、その絵画を描かれた時の話から始まりました。みかんの後ろにあったバナナが隠れてしまってみかんの上に乗っているようになってしまったのです。

思い通りに描けなかったショックをいまでも覚えているとのことでした。



次に「Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞」「講談社絵本賞」「小学館児童出版文化賞」など多くの賞を受賞された絵本作品「海のアトリエ」の話に移りました。

この担当の編集者から厳しい指摘を繰り返し受け、しょげかえる日もあったそうですが「大人になると叱ってくれない」「叱ってくれることはとても大切だ」と考え、積極的に取り組みまれたとのことでした。今ではこの編集者は「怖いけど大切な人」となっているそうです。

このようなプロセスを経て、「海のアトリエ」の制作には約5年かかったとのことでした。

編集者とのやりとりで堀川先生は自らが描きたいものだけでなく、多くの人が受け入れてくれる作品を作ることの重要性を理解したそうです。「海のアトリエ」は様々な賞を受賞しましたが、賞は単なる取得物ではなく、授かるものだと語っていただきました。


2「戦争について」

 

堀川先生の現在の作品テーマ「戦争」について、話がありました。

「現代においても、地球のどこかで戦争が続いています。日本は原爆を長崎と広島で経験した唯一の国です」と語り、映画「東京裁判」の話に移りました。この映画は太平洋戦争の軍事裁判を描いたドキュメンタリーであり、日本が戦後の道をどのように歩んできたかを理解するためにも、楽しい映画だけでなく、このような映画も観るべきであると学生たちに強くすすめました。また、堀川先生自身も、父親の戦争体験に触発されて、戦争中の実体験を絵にされました。

さらに、堀川先生は沖縄戦を体験した87歳の男性から聞いた話を元に絵を描こうと試みましたが、死体を描くことに抵抗がありました。初めは草で隠して描きましたが、「そうじゃない!」と指摘されてしまったそうです。しかし、男性とのディスカッションで「本当のものを見た人は絵が強かろうが関係ない!」と気づき、堀川先生は絵を完成させました。心に鞭を打たれたような気持ちになり、今後の絵を制作するにあたっての指針ができたと述べられました。


3「こころの栄養」

 絵を描くことだけでなく、こころの栄養となる「好きな言葉」も語っていただきました。

みうらじゅんの前向きな言葉「不安タスティック」や石川啄木の歌からは、他人と比較することへの警鐘が鳴らされ、短歌の魅力や心の慰めについても触れられました。また、島田修三やチャールズ・ダーウィンの言葉を通じて、変化や負けることの意義が語られ、「変わっていい」という考え方が大切であるとのメッセージが伝えられました。

 4「ティファニーで朝食を」

 「ティファニーで朝食を」を中心に映画の話をされました。

この映画では、主人公が自分自身の問題だけでなく人間関係で悩む姿が描かれています。主人公は田舎で獣医と結婚し、その後単身ニューヨークに移り住みますが、新たな恋人ができそうな中で、獣医が彼女を迎えに来ます。バスでのやりとりでは、「一緒に帰ろう」「ダメなの」と抱きしめる場面があります。この映画から得られる教訓として、嫌な人とは距離を置くことも大切ですが、離れたい人には抱きしめるような優しさを示すことが、より良い関係を築く手段であることが示唆されました。


5「非営利組織が持つ特性や表現する仕事の重要性」

最後に、非営利組織の特徴や仕事の重要性について話がありました。JBBY(日本国際児童図書評議会)の支援は、お金を稼ぐことよりも、社会や個人の健康や幸福に貢献することを重視しています。そのため、非営利組織との協力は共感と理解を促進するためにも重要です。アートや表現を通じて、メッセージがより深く浸透し、人々の心に訴えかけることができると述べられました。

また、他人の作品を解釈する際には、その解釈の深さや個性が重要だということも述べられました。自分なりの解釈で作品を楽しむことが、より意味深い経験をもたらし、表現の豊かさを引き出すことができるというメッセージが伝えられました。


 

講義終了後、学生からの質問から堀川先生は作家としての生き方について話されました。「何かを伝える使命がある」「誰かの役に立ちたい」という言葉を述べられました。その言葉により、今後の堀川先生の活動に、学生たちの関心が集まったことを感じさせられました。

堀川先生、愛情たっぷりのご講義、ありがとうございました。

2024年4月11日木曜日

新入生研修行事が行われました

 2024年度、スタートしました!

今年は桜の開花もおそく、入学式後に華やかな学舎になりました。

そんな中、オリエンテーション最後の行事として

毎年恒例、1年生の研修行事が学内で行われました。

司会は青田先生です。

新しく日本美術史の浦木先生を迎え、今年も美学美術史学科は充実の教師群で

皆様と共に学んでまいります!という自己紹介からスタート。

その後、新入生の皆さんにも出身地や好きなもの、はまっているもの、PRなどを

一言ずついただきました。


そして、Googleクラスルームの使い方を武藤先生が伝えました。

すでに高校で使っていた人も多く、スムーズに進行しました。


その後、奥西先生のアートカードを使った作品連想ゲームを

各班で行いました。作品をよみといて、言葉で伝え、グループのメンバー+先生が

連想して作品を描きます。大いにこちらも盛り上がりました!


さらに、集合写真を撮影し、学内をグループでまわり、実技棟ギャラリーなど

まだ足を踏み入れていない場所を巡りました。ギャラリーでは、3,4,大学院生の

展覧会も開催中です!

一年生の皆さん、これから徐々に慣れ、充実した大学生活を送ってください!


2024年2月6日火曜日

塩澤先生「日本美術に親しむ2」特別講義が行われました

 10月から本学の学長に就任した塩澤先生が、

後期学部教養教育科目として「日本美術に親しむ2」を担当していました。

最終回の2月1日(木)5限は、普段よりちょっぴりバージョンアップした

特別講義が行われました。

この日は受講生はもちろん、美学美術史の学生、学科教員、そして塩澤先生を慕ってやまない卒業生などが駆け付け、普段より多く収容できる教室を使用して、最終講義さながらの特別講義に聞き入りました。




これまで講義を受講生していた学生はもちろん、先生が授業で述べてきた日本美術の
こと、またそこで扱ってきた作品や、作者について、先生の研究の話、そしてその姿勢などを伺うことが出来ました。

受講生たちは「これが最後の(?)先生の授業かぁ・・・」としみじみ、出席表にコメントを丁寧に書き、小さな出席表に先生への感謝や思いを記していたように思われました。

チャイムが鳴ってからは院生による花束贈呈、全員での写真撮影などで盛り上がりました。



特別講義、ご参加ありがとうございました。
塩澤先生のお話(授業)はまたきっとどこかで聴けるでしょう!

2023年11月12日日曜日

2023年度「西洋美術史実地研修2」第3回実地研修に行ってきました

 第3回(11月11日)は、2箇所の美術館を見学しました。

午前中は、東京都美術館(上野)で「永遠の都ローマ」展を鑑賞し、古代彫刻などを実見しました。

美術史の講義で学んだ「ウェヌス・プディカ(慎みのヴィーナス)」タイプの作例《カピトリーノのヴィーナス》や、デッサン室にある石膏像「アリアス」のオリジナル作品など、親しみを覚えつつ観察した履修者たちもいたのではないでしょうか。

午後は、SOMPO美術館(新宿)で「ゴッホと静物画」展を鑑賞しました。

ヨーロッパにおける「静物画」の歴史をたどり、その枠組みのなかで《ひまわり》などのゴッホによる静物画を位置づけるという展覧会となっており、西洋美術史の観点を意識したうえで、作品理解を深めることができたのではないかと思います。

今回の研修でも美術館スタッフの方々にお世話になりました。

どうもありがとうございました。


2023年10月9日月曜日

2023年度「西洋美術史実地研修2」が始まりました


第1回(10月7日)は、群馬県立近代美術館を見学しました。
現在、「創作において自由なる競創-19、20世紀の芸術家とポスター」が開催中です。
19世紀パリの街を彩ったシェレ、ロートレック、ミュシャたちによる広告ポスターや、マティス、ピカソ、シャガールといった芸術家たちと工房とのコラボ作品など、豊かなポスター芸術の世界を堪能できます。
本展覧会準備には、同館学芸員で本学非常勤講師(学芸員課程)の佐藤聖子先生も携わっていらっしゃいます。

佐藤先生からご挨拶をいただいた後、展覧会の会場を一巡し、展示の構成や作品の概要を押さえたところで、記念講演会の会場である講堂へ向かいました。

記念講演会
「19世紀末から20世紀のポスターの流れ-芸術家たちの自由なる競創-」
講師:河野泰久氏(福井市美術館副館長・本展図録執筆者)

ポスター普及の社会的な背景や石版画(リトグラフ)の技法、芸術家たちとポスターとの関係など、本展覧会のみどころを教えていただきました。
講演会の後は会場へ戻り、再び作品鑑賞を行いました。
コレクション展には企画展で見てきた芸術家たちの油彩画もあり、
版画と油彩画という2つの媒体を関連づけて考察することができました。

本実地研修では、美術館のスタッフの方々に大変お世話になりました。
どうもありがとうございました。

群馬県立近代美術館 https://mmag.pref.gunma.jp/
展覧会「創作において自由なる競創-19、20世紀の芸術家とポスター」
(~11月12日[日])
https://mmag.pref.gunma.jp/exhibition/exhibition-3411

2023年8月30日水曜日

8月19日に館林美術館にてアートマネジメントゼミ生がワークショップ「きみょうな仮面舞踏会♪」を行いました。

 今年も館林美術館にて、夏の企画展に合わせたワークショップを開催しました。

今年は「佐藤健寿展 奇界/世界」展にちなんだ企画を考えました。

これまで世界120カ国以上を巡り、ありとあらゆる“奇妙なもの”を対象に撮影を続けてきた写真家・佐藤健寿さんの作品集を事前に調査し、その中に見られた仮面をかぶった民族・・・

そこから今年は「仮面でいこう!」ということになりました。

当日は例年より参加者が少なかったのですが、みなさんじっくりと

作品制作に取り込まれたことが印象的です。


まず、紙袋か、紙皿のどちらかを選び、シールやマーカー、マスキングテープなどを

用いながら自由に仮面を作ってきました。

学生たちはそれぞれのテーブルで個別にサポートをしたり、

参加者の方と対話をしたりと楽しく活動しました。



参加者のみなさん、いろんな仮面が出来ました!

また、奇妙さの演出として、学生が作ったきみょうな生き物を見つけるという
ミニ企画も。ワークショップ室の前の庭にひっそりとたたずんでいました。
見つけることが出来た人はラッキー!


みなさん暑い中でしたが、ご参加ありがとうございました。