2023年11月12日日曜日

2023年度「西洋美術史実地研修2」第3回実地研修に行ってきました

 第3回(11月11日)は、2箇所の美術館を見学しました。

午前中は、東京都美術館(上野)で「永遠の都ローマ」展を鑑賞し、古代彫刻などを実見しました。

美術史の講義で学んだ「ウェヌス・プディカ(慎みのヴィーナス)」タイプの作例《カピトリーノのヴィーナス》や、デッサン室にある石膏像「アリアス」のオリジナル作品など、親しみを覚えつつ観察した履修者たちもいたのではないでしょうか。

午後は、SOMPO美術館(新宿)で「ゴッホと静物画」展を鑑賞しました。

ヨーロッパにおける「静物画」の歴史をたどり、その枠組みのなかで《ひまわり》などのゴッホによる静物画を位置づけるという展覧会となっており、西洋美術史の観点を意識したうえで、作品理解を深めることができたのではないかと思います。

今回の研修でも美術館スタッフの方々にお世話になりました。

どうもありがとうございました。


2023年10月9日月曜日

2023年度「西洋美術史実地研修2」が始まりました


第1回(10月7日)は、群馬県立近代美術館を見学しました。
現在、「創作において自由なる競創-19、20世紀の芸術家とポスター」が開催中です。
19世紀パリの街を彩ったシェレ、ロートレック、ミュシャたちによる広告ポスターや、マティス、ピカソ、シャガールといった芸術家たちと工房とのコラボ作品など、豊かなポスター芸術の世界を堪能できます。
本展覧会準備には、同館学芸員で本学非常勤講師(学芸員課程)の佐藤聖子先生も携わっていらっしゃいます。

佐藤先生からご挨拶をいただいた後、展覧会の会場を一巡し、展示の構成や作品の概要を押さえたところで、記念講演会の会場である講堂へ向かいました。

記念講演会
「19世紀末から20世紀のポスターの流れ-芸術家たちの自由なる競創-」
講師:河野泰久氏(福井市美術館副館長・本展図録執筆者)

ポスター普及の社会的な背景や石版画(リトグラフ)の技法、芸術家たちとポスターとの関係など、本展覧会のみどころを教えていただきました。
講演会の後は会場へ戻り、再び作品鑑賞を行いました。
コレクション展には企画展で見てきた芸術家たちの油彩画もあり、
版画と油彩画という2つの媒体を関連づけて考察することができました。

本実地研修では、美術館のスタッフの方々に大変お世話になりました。
どうもありがとうございました。

群馬県立近代美術館 https://mmag.pref.gunma.jp/
展覧会「創作において自由なる競創-19、20世紀の芸術家とポスター」
(~11月12日[日])
https://mmag.pref.gunma.jp/exhibition/exhibition-3411

2023年8月30日水曜日

8月19日に館林美術館にてアートマネジメントゼミ生がワークショップ「きみょうな仮面舞踏会♪」を行いました。

 今年も館林美術館にて、夏の企画展に合わせたワークショップを開催しました。

今年は「佐藤健寿展 奇界/世界」展にちなんだ企画を考えました。

これまで世界120カ国以上を巡り、ありとあらゆる“奇妙なもの”を対象に撮影を続けてきた写真家・佐藤健寿さんの作品集を事前に調査し、その中に見られた仮面をかぶった民族・・・

そこから今年は「仮面でいこう!」ということになりました。

当日は例年より参加者が少なかったのですが、みなさんじっくりと

作品制作に取り込まれたことが印象的です。


まず、紙袋か、紙皿のどちらかを選び、シールやマーカー、マスキングテープなどを

用いながら自由に仮面を作ってきました。

学生たちはそれぞれのテーブルで個別にサポートをしたり、

参加者の方と対話をしたりと楽しく活動しました。



参加者のみなさん、いろんな仮面が出来ました!

また、奇妙さの演出として、学生が作ったきみょうな生き物を見つけるという
ミニ企画も。ワークショップ室の前の庭にひっそりとたたずんでいました。
見つけることが出来た人はラッキー!


みなさん暑い中でしたが、ご参加ありがとうございました。

2023年8月24日木曜日

富岡市立美術博物館にて、7月29日に「アートマネジメント演習1」受講生による「第9回 夏休みわくわくワークショッ」を開催しました。

 7月29日(土)に美学美術史学科「アートマネジメント演習1」3,4年、大学院1年生の受講生30名が企画立案した4つの子ども向け造形プログラムを富岡市立美術博物館で行いました。

授業では半年間かけて、子どものための教育普及プログラムを調査、検討し、小さなお子さんからどなたでもアートに親しむことが出来るよう配慮して準備をしてきました。


今年は美術博物館の企画展「ゆかたと藍の世界」展からも発想し、

染めや藍、ゆかたなどのモチーフも各プログラムで見られました。


当日は39℃という猛暑の中、午前、午後と多くの方にご参加していただきました。

コロナ禍を経て、もう少しいらっしゃるかな?と思っていましたが、昨年同様160名くらいのご参加でした。その分学生たちは参加者と対話をしながらゆったりと造形活動を楽しんでいました。


                     

創作室では簡単な染め体験で貝殻のペンダントを作りました。
真ん中のカプセルには自分の好きなものを入れることが出来ます!

視聴覚室ではステンドグラス風の夏飾りをお花紙で作りました。
ラミネートをしてもらうとみんな大喜び!

市民ギャラリーではいろいろな素材を使ったクラゲ作り(上)と
今年で三年目になる富岡まちなかのフォトスポット用作品(下)として
参加者の皆さんにパーツを作ってもらいました。


最後は学生たちも参戦してすごいスピードで作り上げました!
こちらは9月以降、市内のポケットパークに展示されますのでお楽しみに。

今年もご参加ありがとうございました。

2023年8月16日水曜日

2023年度「芸術の現場から」
齋藤千明先生によるご講義

7月31日は、齋藤千明先生にお越しいただきました。
齋藤先生は、アーティストであり、白鷗大学教育学部教授であり、鹿沼市立 川上澄生美術館 館長であり、花火師の資格を持ち、過去には花火を打ち上げる仕事にも携わっていました。

ご講義は、多くの肩書きを持っていること、学生時代やご卒業後の活動、ヘルメットをかぶって花火を打ち上げていたことなど、ユーモアを交えながら自己紹介からスタートしました。

二人展:「齋藤千明×佐藤智明カラスなぜ鳴くの」(静岡県・沼津市)2022年11月12日~12月4日

齋藤先生は、国内外で多くの展覧会を経験されています。
2022年に静岡県の沼津市で開催された二人展:「齋藤千明×佐藤智明カラスなぜ鳴くの」に関して、スライドや映像をもとに木版で制作された作品のコンセプト、インスタレーション作品として場とどう関わるのかなどを、制作の過程で起きたハプニングも含め、説明されました。

そもそもなぜ木版で作品を制作し、表現することになったのか?

1枚の浮世絵の作品、喜多川歌麿作「高島おひさ」との出会いが、きっかけになったことや、浮世絵が持つかろやかさの魅力などを話されました。

浮世絵版画は、版元、絵師、彫師、摺師などの分業制です。それに対して齋藤先生の作品は、創作版画の位置付けであり自刻自摺りになります。
版木を彫る、紙に摺る過程などで経験する感触なども大切にしているとのこと。

大学の卒業制作からもよくわかります。台東区の買上作品となり、先日も東京藝術大学美術館での展覧会で、展示もされていたそうです。
この作品は、なんと桜の木1本を使い制作されました。チェンソーで木を切った断面、小口がモチーフとして摺られています。また浮世絵の技法研究を取り入れ制作された作品も紹介していただきました。

卒業制作『知覚の形状』

卒業制作『塊』伝統木版画の技法研究

美学の複数の先生も参加されている伊香保温泉で開催された「床の間アート」展にも参加されています。
この他にも、額に入った平面作品というイメージが強い版画作品を太鼓にして演奏家とのコラボレーションをしたり、立体作品も制作されています。

シリーズ『透過する場』 伊香保温泉での床の間アート展より

立体作品:和紙で作られたコルセットにミョウバンの結晶

次に、館長をされている川上澄生美術館のお話へ。
美術館主催の木版画の公募展で大賞を取ったことをきっかけに、20年近く展覧会、ワークショップなどをとおして関わってきた事が、館長へとつながったようです。

現在、美学美術史学科の卒業生である臼井佐知子さんが、学芸員で活躍されています。
川上澄生作品のスペシャリストです。
インタヴュー映像では、学芸員のお仕事、県女時代のこと、学芸員になるきっかけなど。履修生の中には、学芸員の資格修得を目指している学生もいます、大変参考になったようです。

美学卒業生の学芸員、臼井佐知子さん

これからの美術館のあり方、伝え方などを学芸員と検討し始めています。
その1つとして、美術館に来てもらうだけではなく、こちらから出向く出前ワークショップなどを試みているとのこと。
図書館と連携した造形活動もその1つ、図書館にある本を活用しながら、ブックマーク(しおり)を制作することを提案され実践されています。

最後に、お持ちいただいた作品やご講義の中でも話された版木、版画制作には欠かせない本式のバレンを見せていただきました。

講義終了後の学生と!

福島ビエンナーレ「風月の芸術祭 in 白河2022」

『地水火風空』福島ビエンナーレアートだるま作品

履修生には、沼津の作品や福島ビエンナーレでのだるま作品を中心に話されたインスタレーションという表現方法、作品を制作したら終わりではなく、展示する場や関係する人とのコミュニケーションの大切さを、強く感じる講義になったようです。

齋藤先生、素敵なご講義をありがとうございました。

2023年8月2日水曜日

2023年度「芸術の現場から」大森慎子先生(新潟市歴史博物館)によるご講義


7月24日は、大森慎子先生(新潟市歴史博物館 学芸主任)にお越しいただきました。
大森先生は、本学文学部美学美術史学科の卒業生です。
ご講義は「学芸員という仕事に就いて」と題し、学生時代やご卒業、また就職後の経歴と重ねつつ、新潟市の文化芸術活動の歴史や、ベテラン学芸員の多岐にわたる業務を紹介してくださいました。
昭和55(1980)年に開学した本学は、その2年半後に前橋市から玉村町に移転しました。
大森先生は、新築当時の玉村校舎の写真などを見せながら、個性的な先輩たちや教員たちに刺激を受けたり、仲間と集い、自分からもアイディアを出したりして、楽しい学生生活を送ったと語られました。
ご卒業後は新潟市の公務員としてスタートし、やがて新潟市美術館の学芸員となり、新津美術館などを経て、現在の新潟市博物館に勤務なさっています。

学芸員のお仕事は、所蔵作品の調査研究や管理、展覧会の企画運営、教育普及、広報、地域連携などと幅広く、時にはハプニングが起きて対処に追われることもあるそうです。
多忙な日々をお過ごしのようですが、それを楽しそうに、学芸員という仕事に対する情熱を込めて話してくださいました。
2020年11~12月のコロナ禍には、「生誕320年記念特別展 五十嵐浚明―越後絵画のあけぼの」展が開催されました。その展覧会は、江戸時代における新潟の代表的な画人に関する長年の研究成果の場でもありました。

五十嵐浚明(いからし しゅんめい、1700-1781年)の展覧会図録は、2021年度(第33回)の「国華賞」において「国華展覧会図録賞」を受賞しました。
『國華』は、明治22(1889) 年に東京美術学校(東京藝術大学の前身)を創設した岡倉天心らによって創刊された学術雑誌で、その名を冠した「国華賞」は、日本美術及び東洋美術の優れた研究に対して贈られるものです。

最後に、「学生時代を思いっきり楽しみ、様々なことをやってみるという経験が、社会に出て役に立ちます」と学生たちに語りかけてくださいました。

大森先生が学芸員としての自分史を語ってくださったことで、学生たちは自分自身のことのように受けとめながら、学芸員のお仕事の大変さや楽しさ、そして人生についても学ばせていただいたようです。

大森先生、素敵なご講義をありがとうございました。

------------

新潟市歴史博物館 みなとぴあ https://www.nchm.jp/

2023年7月24日月曜日

2023年度「芸術の現場から」佐藤麻理子先生(朝日新聞社)によるご講義


7月17日は、佐藤麻理子先生(朝日新聞社メディア事業本部文化事業1部)にお越しいただきました。
佐藤先生は、本学文学部美学美術史学科の卒業生です。
 

ご講義は「メディアと展覧会」と題し、展覧会の企画から開催まで、さらに開催期間において、メディアがどのような役割を果たしているのか、東京都美術館で開催中の「マティス展」を中心に詳しく解説してくださいました。
 
展覧会ポスターやチラシを眺める時には、作品やデザインに意識が傾きがちですが、「主催」「後援」「協賛」「協力」の記載箇所に注目することで、どのような、また、いかに多くの機関が1つの展覧会に関わっているのかが見えてきます。


展覧会は、企画立案の要件やスケジュール管理、予算執行といった現実的な問題への適切な対処に裏打ちされて実現していきます。


最後に、今後の抱負として「これまでの経験、つちかってきた歴史を大切にすること、新しいことにチャレンジすること」「プロフェッショナルであること」「良質な企画を作ること」を語ってくださいました。

展覧会の作り方には様々なものがありますが、今回のご講義を通じて、メディアが企画運営に関わることで、大規模な展覧会が可能となり、芸術文化への興味や関心が社会に広まる効果も生まれるということを学生たちも再認識したのではないでしょうか。

佐藤先生、貴重なお話をありがとうございました。

-------
マティス展 HENRI MATISSE: The Path to Color

東京都美術館公式サイト「マティス展」2023年4月27日(木)~8月20日(日)

2023年7月18日火曜日

7月16日にオープンキャンパスが開かれました

 7月16日(日)猛暑の中、今年のオープンキャンパスが開催されました。

とても暑い中でしたが、約150名の方にお越しいただきました。

会場の講義室はほぼ満席!ありがとうございました。

まず学科長の高橋先生による学科説明が行われ、本学科で学べることや、

どんな授業があるか、また地域連携の様子などもお伝えしました。


その後、入試委員の奥西先生から本学の入試制度や日程、大学入学までに学んでおいてほしい教科等をお伝えしました。 


その後、3,4年生の先輩から学生生活について、なぜ本学を志望したかなど
受験を検討される方々に体験談をお話しました。皆さん真剣に聞いてくれていたことが印象的です。

そしてお待ちかねの青田先生による模擬授業を体験していただきました。
35分と短い時間でしたが、
・美学ってなんだろう?
・風景を見て感じる美しさとは?
などの疑問から、身近な例と巨匠の風景画まで網羅する濃い授業でした。
美学という学問への興味も高まったのではないでしょうか?


その後は個別相談会も開催され、充実した一日となりました。

本学科は意欲溢れる皆様の入学をお待ちしております!


2023年7月14日金曜日

「芸術の現場から」
6月26日 吉河歩香先生

「芸術の現場から」6月26日の講師は、益子陶芸美術館学芸員の吉河歩香先生をお迎えしました。

吉河先生は、本学文学部美学美術史学科を卒業された後、学習院大学大学院で近代陶芸について専門的に学び、修了後は研究テーマであった益子焼を専門とする益子陶芸美術館で学芸員として活動されています。陶芸分野の若手学芸員として活躍が注目されています。

ご講義は、「新米学芸員のリアルな日常」と題して行われました。学芸員としての日頃のお仕事を画像を用いながらとても分かりやすくお話し下さいました。画像には、扱われている美しい陶芸作品も豊富に登場し、作品を楽しめる場ともなりました。

履修者の中には学芸員課程を履修する人も多く、本学出身の年齢の近い現役学芸員である吉河先生のお話は、実感として受け止めることができたようで、まさに「リアル」を感じ取ったようです。授業後に提出されたコメントにも、学芸員の仕事内容のことがリアルに分かった、学芸員の仕事に一段と惹かれた、県女出身の方にお話をしてもらえてよかった、年齢の近い方にお話を聞けてよかった、などの声が寄せられました。
ご講義の最後には、ご持参くださった陶磁作品を実際に鑑賞したり、扱わせてもらう時間を設けて下さり、一段と印象深い経験となりました。

吉河先生、充実したご講義、ありがとうございました。

◇【益子陶芸美術館】
http://www.mashiko-museum.jp/