2024年11月12日火曜日

2024年度「西洋美術史実地研修1」第2回を実施しました

2024年11月9日(土)に第2回実地研修を実施しました。
午前中は、SOMPO美術館(新宿)の「カナレットとヴェネツィアの輝き」展を見学しました。
カナレット(1697-1768年)は、「水の都」ヴェネツィアの景観画(ヴェドゥータ)を描いて人気を博した画家です。おもに英国貴族の若者が教育の集大成として文化の中心地を巡ったグランド・ツアーの最盛期には、ヴェネツィア旅行者たちが好んで彼の絵画を買い求めました。
カナレット《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》1760年(部分)

会場では、カナレットが明るい部分を白い斑点で描いた技法を間近で観察したり、遠近法の道具カメラ・オブスクラを体験したりすることができました。
また、印象派の代表的な画家モネをはじめ、後代の画家たちによるヴェネツィアの絵画も展示されており、時代様式や文化的な背景を意識しながら鑑賞できるようになっていました。


午後は、森美術館(六本木)の「ルイーズ・ブルジョワ展」を見学しました。
ルイーズ・ブルジョワ(1911-2010年)は、六本木ヒルズの巨大な蜘蛛のオブジェ《ママン》を制作したアーティストです。
森美術館のスクール・プロジェクトにより、入場前にラーニング・キュレーターの白木氏が展覧会の鑑賞ポイントや美術館の展覧会作りなどについてレクチャーをしてくださいました。

入場した途端、アーティストの心象の空間に放り込まれたような感覚に襲われた人もいたかもしれません。暗がりで主張する作品群、映像、音声、香水のにおいの中で強烈な刺激を受けたのではないかと思います。

ルイーズ・ブルジョワは現代社会の問題を意識させるアーティストですが、1930年代から制作活動を行っています。シュルレアリスムなどとの関連を想起させるなど、西洋美術史の観点からの作品鑑賞が可能です。


SOMPO美術館と森美術館のスタッフの皆様に大変お世話になりました。
どうもありがとうございました。

「ユリノ木物語」PT院生メンバーが錦野祭にステージ出演しました

「ユリノ木物語 群馬県立女子大学の歴史研究」プロジェクトチームのメンバーである芸術学専攻の院生6名が11月2日と3日の錦野祭においてステージ出演し、開学記念樹ユリノキや、建築業協会賞を受賞した玉村校舎、また円形広場の噴水彫刻について周知活動を行いました。
開学記念樹ユリノキの花(パネルB)

ステージ出演は院生たちによる発案・準備で、クイズによる会場参加型の発表形式を取り入れ、正解者たちにはオリジナル・デザインの缶バッジをプレゼントしました。会場の皆さんにも楽しんでいただけたようです。
初日は大雨の中で奮闘
パネルは、本学正面玄関前のユリノキ2本(左)と円形広場の噴水彫刻(右)
噴水は、群馬ゆかりの作家である半田富久氏による作品《あづまうた》


10月下旬には、噴水彫刻の保存状態調査と洗浄を行いました。


※「ユリノ木物語 群馬県立女子大学の歴史研究」プロジェクトでは、教職員と大学院生が協働して本学の歴史研究や美術作品の調査・保存活動などを行っています。
 本プロジェクトは、本学特定教育・研究費を活用しています。(代表・藤沢桜子[文学部美学美術史学科/大学院文学研究科芸術学専攻 教授])

2024年10月13日日曜日

2024年度後期授業「西洋美術史実地研修1」が始まりました

本授業は美学美術史学科の専門教育科目であるとともに、学芸員課程「博物館実習I」の読替科目でもあります。 西洋美術の作品を実見して教室での学びを深めるとともに、美術館・博物館の展示や運営の実態を学ぶことを目的としています。

第一回実地研修(10月5日)は、国立西洋美術館に行きました。
午前中は企画展「モネ 睡蓮のとき」を見学。

展覧会のフランス語タイトル “Le dernier Monet. Paysages d'eau” (「晩年のモネ―水の風景」)が示すように、モネが晩年に描いた自宅の池に特化した展覧会であり、睡蓮や柳などの植物や、ゆらめく水の連続によって、モネの思考とともに彼の庭を逍遥しているような感覚をおぼえます。
モネ《睡蓮》をコレクション作品の代表の一つとして掲げる西洋美術館に相応しい、明確なテーマを持った展覧会でした。

午後は常設展を見学。

作品を見ながら西洋美術の歴史をたどることができる、充実したコレクション展です。 美術史概説の授業や教科書に出てきた画家や彫刻家たちが名を連ねています。
様式の違いや技法について学生同士で話し合う場面も見られ、作品実見によってさらに学びが深まったようです。

2024年8月7日水曜日

美学美術史学科 山崎真一 教授、渡辺五大 非常勤講師が出展している国際展「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」のお知らせ

新潟県十日町市、津南町全域を舞台に、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 歓待する美術」が開催されています。
2000年から3年に1回のペースで開催され、今回で9回目を迎えます。美学美術史学科 山崎真一 教授と渡辺五大 非常勤講師が力五山(加藤力、渡辺五大、山崎真一のアートユニット)として、2009年から、川西エリアの高倉集落で発表を続け、今回で6回目。
作品タイトル《時の回廊 - 十日町高倉博物館 -》は、初の常設展示になりました。

概要
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024 歓待する美術
会期 2024年7月13日(土)~11月10日(日) 火水定休
会場 越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町) 川西エリア 高倉集落
主催 大地の芸術祭実行委員会、NPO法人越後妻有里山協働機構、
独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

展示場所となる緑豊かな高台にある旧高倉小学校体育館は、さわやかな心地よい風が吹き抜けています。
浮世のざわめきを一瞬でも忘れることができる場所です。
ぜひ高倉にお越しください。

力五山HP
https://yamashin08273.wixsite.com/my-site-2
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024
https://www.echigo-tsumari.jp
大地の芸術祭 越後妻有 力五山紹介ページ
https://www.echigo-tsumari.jp/art/artist/rikigosan-riki-kato-godai-watanabe-shinichi-yamazaki/

大地の芸術祭 全体のリーフレット

力五山のリーフレット

旧高倉小学校体育館外壁に2009、2022年に集落の方を描いた壁画を設置

内部の風景  光、音、声(集落の方)、映像によるプログラムを展開

2024年7月30日火曜日

オープンキャンパスが開催されました。

7月20日(土)、21日(日)の2日間にわたり、オープンキャンパスが開催されました。
美学美術史学科は、20日(土)の9:30~11:00の90分間、講堂にて学科説明会を行いました。

今年は、300名を超える多くの方が参加されました。
内容は、学科説明、入試説明、在校生による学生生活の発表、そして藤沢桜子先生による模擬授業。
終了後は、個別相談会を実施しました。
また、実技棟で開催されている実技ゼミ生(絵画、デザイン)による展覧会も好評でした。

美学の学生がデザインしたポスター

講堂風景

入試説明

学生2名による発表

藤沢桜子先生による模擬授業

授業内容は、
中心人物の傍らに描かれる動植物や物たちは、絵画作品を読み解くうえで重要な鍵となっていることがあります。我々にとって身近なものも少なくありません。それらがどのような意味を持っているのかを考えてみました。

実技棟での作品展示風景

オープンキャンパスに参加された皆様、
大変暑い中、お越しいただきありがとうございました。

2024年7月29日月曜日

7月22日「芸術の現場から」 現代美術家 井上尚子氏

7月22日(月)の「芸術の現場から」には、現代美術家の井上尚子さんをお招きして、ご講演いただきました。

井上さんは、環境、文化、歴史を匂いの記憶から楽しむ「くんくんウォーク®︎」を教育機関、美術館等で開催していらっしゃいます。

今回の講演では、まず、私たち人間がどのようにして匂いを感じているのかからていねいにご説明いただき、そのうえで、井上さんの取り組みをたっぷりご紹介いただきました。

*「匂い分子と嗅覚受容体の仕組み」東原和茂「化学受容の科学」2012.G-10:図20をもとに作図

匂いは、目に見えません。だからこそ、自分で考えること、そしてそれを言語化してコミュニケーションをとることが重要なのだと井上さん。
また、人それぞれどのような嗅覚受容体を持っているのかが異なっているために、同じものに接しても、それぞれの人が感じる匂いは異なるのだそうです。あまりにも私たちの日常生活で当たり前になっている匂いを嗅ぐことには、こんな奥深さがあります。

井上さんは、青森や横浜、丸の内などなど国内のほか、アムステルダムやミュンヘンなど海外でも、さまざまな展示やワークショップを通じて匂いから人の記憶や場所の文化・歴史を探るプロジェクトを手掛けられています。
匂いという姿の見えない、人それぞれのものだからこそ、それぞれの価値観や文化を知る貴重な回路になり得るということが、お話から伝わってきました。

たとえば、国際芸術センター青森(ACAC)でのプロジェクト「Life is smell 〜素数の森〜」。井上さんはまず青森中のさまざまなものの匂いを嗅いでまわりながら、現地の人々のお話のなかで、3などの素数が繰り返し登場することに着目します。そこで青森=素数の森と見立てながら、現地の人々が思い出の匂いを含むものを持ち寄るワークショップを開催して、それを元にインスタレーションの展示空間を構成していきます。また、青森の森をみんなで歩き回り、そこにある匂いを収集する「くんくんウォーク®︎」を開催したそうです。思い出の匂いと、新しい匂い。さまざまな匂いとの出会いを語り合うことで、青森という場所が複層的に浮かび上がってきます。

*Library of smell at Museum Villa Stuck in Munich

ミュンヘンのプロジェクト「Die Bibliothek der Gerüche」では、ドイツの街・ミュンヘンにて滞在制作を行ったそうです。街の古書店を回って、さまざまな匂いの本を集めてきます。科学者とのコラボレーションを通じてそれらの匂いの成分を分析してみたり、古本の匂いを囲んで現地の市民と連日ワークショップを行ったりと、本の匂いの姿が多角的に浮かび上がります。

また講義のなかでは、本学科講師・青田の幼少期の匂いの記憶について、井上さんとお話しする時間も。

特に0歳のときの記憶は自分では難しいので、母と話して思い出してもらったりと、匂いについてのコミュニケーションの奥深さを体感することができました。

質疑応答では、匂いに興味を持ったきっかけは?という質問から、学生時代にマーブルチョコを床一面に敷き詰める作品を制作したときの匂いの受け止め方が人によって違ったことをお話しくださいました。動物園で動物の排泄物の匂いについて語り合うプロジェクトのお話からは、それぞれの動物の排泄物の匂いの違いを楽しむことで、排泄物=ただ「臭い」という固定的な価値観を揺さぶられるという可能性をご提示いただいたと思います。

学生たちにとっても、匂いという感覚のポテンシャルを捉え直す素晴らしい機会になりました。井上さん、ありがとうございました。

2024年7月7日日曜日

7月1日「芸術の現場から」 七宝作家 春田幸彦氏

 「現代アート 新しい有線七宝の世界」

今回の「芸術の現場から」のゲスト講師は、七宝作家の春田幸彦先生をお招きしました。

 

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美術に進まれた経緯

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先生は幼少の頃から美術に興味を持ち、地元静岡県清水市の清水南高校の美術コースに進学されました。

ビーバップハイスクールのような不良映画に影響を受け、不良ファッションに身を包みながら作品制作に打ち込んでいたとのことです。

東京にて2浪した後、東京藝術大学美術学部工芸科に進学され、1年時には七宝作家の岩田広己氏(当時学部4年生)の作品に感銘を受け、七宝作家を志すことになりました。

卒業後は東京藝術大学工芸科の非常勤講師を経て、オリジナルジュエリーの企画・製造・販売を手がける会社「studio SORA」に勤務されました。そこで出会った丸山聡社長の生き方が今の先生の姿勢を形成しています。「できないと言われたことを最後までやれ!」「世間で売っているものは良いと思うな!自分で開発しろ!」という丸山社長の言葉は、現在の作品制作にも活かされており、七宝制作道具も自作されています。

また、大学時代から続けている趣味としてツーリング同好会に所属しており、キャンプに必要な道具やバイクの部品を自ら制作しています。その同好会のメンバーは大学時代の同級生たちで、今でも大切な友人であるとのことです。

学生たちには「今の友達を大事にし、長く末永く関係を築いてください」とのメッセージを送られました。

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七宝について

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続いて、先生は七宝の世界について歴史を踏まえてお話しされました。

・七宝とは、金属の表面にガラス質の釉薬を付着させる技法で、主に銅、銀、金を使用します。その美しさは7つの宝石に例えられ、「七宝」と呼ばれています。

・七宝の技術は、中国から茶道具などを輸入する形で日本に伝わり、日本国内で研究が進められました。桃山時代には、七宝の技術が襖に用いられるようになり、特に梶恒吉の作品が有名です。ドイツのゴッドフリード・ワグネルは、透明度の高い釉薬を開発し、その技術は日本でも大きな影響を与えました。

・川崎重工の創業者である川崎正蔵も、七宝の発展に貢献しました。彼は「宝玉七宝」として知られる技法を開発し、その名を広めました。

・七宝には、有線七宝と無線七宝の二つの技法があります。有線七宝は、色と色が混ざらないようにする技法であり、この技法で成功を収めた並河靖之は、京都に記念館が設けられるほどの名工です。一方、無線七宝は濤川惣助によって発展し、彼の作品は赤坂の迎賓館で見ることができます。

しかし、先生が所属する日本七宝作家協会の会員数は年々減少しており、七宝技術を学んでも経済的に結び付かない現状があります。文化学園大学で指導している学生も、卒業後に七宝を活かせる職種に就くことは難しいとのことです。このような状況から、先生は七宝を「絶滅危惧工芸」と呼び、危機感を訴えています。

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七宝とROCKについて

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美術を始める前から、先生は中学時代からよく聴いていたROCK(音楽)に影響を受けていたとおっしゃっていました。

ネオロカビリーやモッズなどのファッションにも影響を受けており、自身の七宝作品のタイトルなどにもその音楽の要素を取り入れています。

ROCKの話の中で、先生はタイマーズというバンドについてもお話しされました。タイマーズの代表曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」はザ・モンキーズのヒット曲のカバーですが、日本語の歌詞で新たな魅力を加えています。この歌詞は、ボーカルのゼリー(忌野清志郎)が母親を亡くした後に育ての母親への思いを歌にしたもので、清志郎が現実世界を白昼夢のように感じていた様子が描かれています。この曲はアルバム「THE TIMERS」に収録されており、先生は未開封のCDを持参し、学生たちに貴重な資料として見せてくださいました。

2009年に清志郎は亡くなりましたが、今でも世間の声を代弁する歌手として、多くの人々にメッセージを伝え続けています。先生も清志郎の思想に影響を受け、後世に受け継がれる作品を意識しながら、制作を続けているとおっしゃっていました。

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春田先生の七宝作品について

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春田先生は、七宝の世界から自身の想いを発信したいと考えました。彼の七宝作品のモチーフは、大好きな爬虫類から着想を得ています。蛇などの爬虫類は恐怖の対象であると同時に、信仰の対象にもなっています。蛇は人間の欲望によりベルトや鞄に変えられており、命の重さが軽視されているのではないかと考え、そのメッセージを「有線七宝」の技術でアート作品として伝えることにしました。

そして2007年、春田先生はこのテーマを踏まえた渾身の七宝作品「反逆」を2年かけて完成させました。しかし、専門家からは「自己満足」「好みが分かれる」「密度があってもしょうがない」と低評価を受けてしまいました。それでも自身のスタイルを曲げずに制作を続けた結果、キュレーターのグレゴリー・アーバイン氏に認められ、2017年にロンドンのV&A(東芝ジャパンギャラリー)に収蔵されることとなりました。

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春田先生の七宝作品の紹介

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春田先生は自身の作品のコンセプトについて、以下の4つを丁寧に紹介されました。

 

有線七宝綿蛇鞄置物「反逆」

このカバンは組織社会を表しています。意図せずにカバンとしての用途を与えられた錦蛇は、同調圧力によって意志を抑えられた個人の集合を象徴しています。組織の一員でありながら満足せず、常に疑問を抱いて意見を伝えようとする姿を表現しており、体制に従順な態度を示しつつも反逆の時を狙っているというコンセプトです。

置物「無駄に、無駄口、無駄遣い」

レザー素材にされた錦蛇が「口と財布は締めるが得」ということわざを体現しています。余計なことを話したり、お金の使い方を誤って破滅に追い込まれる可能性を表現しており、自らが犠牲となってその教訓を訴えています。

「狂愛の贄筥」「二十日鼠幼体生贄」

二重箱の中で、蛇がハートをかたどり飼い主への信頼と愛情を体で表現しています。

シェイクスピアの「恋は盲目」という格言を基に、愛情の狭間に犠牲があることを問いかけています。この作品はペットと飼い主の関係を通じて、恋人同士や家族、友人関係にも影響を及ぼすことに気づいてもらうことを目的としています。

「始まりと終わりのカラ」

髑髏と蝉の抜け殻をテーマにした作品です。般若心経の教え「命とは何か」を描いており、肉体は単なる物質で魂・命は永遠に存在するという考えを表現しています。そしてもう1つの髑髏の作品「有線七宝髑髏九相図置物Catharsis」は春田先生が愛するお祖母様の死をきっかけに制作され、命のうつろいを感じて欲しいとの思いが込められています。制作することで、先生自身の辛い気持ちを落ち着かせることができたと述べられました。


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有線七宝の実演

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春田先生は、上記の作品紹介だけでなく、有線七宝の実演も行ってくださいました。この技法の複雑な工程や細かな技術を高い集中力で短い時間で見せていただきました。有線七宝は非常に繊細なデザインや複雑な模様を表現できる技法ですが、素人にはなかなか真似のできないことがわかりました。


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ジブリ美術館収蔵作品の紹介

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宮崎駿監督のジブリ美術館には、春田先生の作品が収められています。美術館の一番下の階層には、井戸のポンプの周りに春田先生の有線七宝のオーナメントが4枚飾られています。また、春田先生と友人が制作したロボット兵が屋上に設置されており、そのロボット兵の足元には春田先生の提案で七宝の紋章作品が設置されました。このように、春田先生は単に要望に応じるだけでなく、自身の想いや提案をクライアントに伝える意志を持っており、デザイナーではなく作家だと言うことを確信しました。


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春田先生のご講義により、工芸をアートに昇華させ、命の重さを伝える作品を通して、世の中に疑問を投げかけ、伝統を進化させることを目指しておられることがわかりました。また、技術的な価値を伝えることにも重きを置いていらっしゃいます。先生のお話は、鋭いメッセージを含みながら、学生たちに七宝の歴史とその危うさ、そして未来への可能性を丁寧に示してくださいました。

春田先生、このたびは貴重なご講義をありがとうございました。