午前中は東京都美術館で「プーシキン美術館-旅するフランス風景画展」へ。
ロシアを代表するプーシキン美術館の所蔵作品のうち、本展ではフランス風景画が来日しました。
19世紀後半に本展の目玉でもあるモネを初めとする印象派が知られていますが、本展では印象派以前17世紀、18世紀の代表的な風景画を見ることもできる構成になっています。
事前レポートでは、17-18世紀それぞれの時代を代表する風景画ジャンルである「理想的風景画」と「雅宴画(フェト・ギャラント)」について予習。
博物館学の授業として、モスクワのプーシキン美術館についても 予習。
17-18世紀までの風景画が現実の風景を構成し直して描かれていたのに対して、19世紀にバルビゾン派、印象派らの作品のように、写生した風景を描いた純粋な風景画が登場していく流れや、大都市パリとその周辺が魅力的な画題として取り上げられていく様子が、展示を通じてうまく解説されていましたね。
一方、展覧会の掉尾をしめくくったアンリ・ルソーの作品はパリにいながらにして熱帯のジャングルを夢想したものです。
20世紀にはいって、再び風景画は「想像」によって描かれるようになります。
午後は国立西洋美術館で「ミケランジェロと理想の身体」展へ
入館前に「ミケランジェロについて」と本展のテーマである「理想的身体表現について」発表。
西洋美術においては「理想的身体表現」は、古代ギリシア時代に八頭身のプロポーション、コントラポストといったポーズを備えた理想的身体という規範が生まれ、数多くの古代彫刻の傑作がこの規範に沿って作られました。「古代の再生」であるルネサンスの美術運動の中では、この古代の「理想的身体表現」が追究されます。本展では、古代の彫刻作品と15-16世紀のルネサンス彫刻が比較できるように展示され、ルネサンスがいかに古代作品を学んでいったのかが示されました。
そのルネサンス期に古代に学びつつ新しい美の規範を作ったのが、ミケランジェロです。
本展では初来日となる「アポロ/ダヴィデ」像、「洗礼者ヨハネ」像が初来日。
ルネサンスを代表する彫刻家の作品を直に日本で見られる機会は滅多にありません。
前期の締めくくりにふさわしい鑑賞体験となったのではないでしょうか。
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