2019年4月26日金曜日

2019年度「西洋美術史実地研修1」第1回研修

 2019年度「西洋美術史実地研修1」の授業が始まりました。
 初回は午前中に東京・丸の内にあるレンガ作りに、中庭の新緑も美しい三菱一号館美術館にて企画展「ラファエル前派の軌跡」展。



まずは入館前に企画展のテーマである19世紀英国の美術運動「ラファエル前派について」、それから今回の企画展ではラファエル前派を評価し、後押しした美術批評家ジョン・ラスキン生誕200周年記念ということで、展覧会最初のセクションが彼の描いた素描などに充てられているので、「ジョン・ラスキン」について予習します。

事前学習レポートを基に発表。
本授業は学芸員資格科目のひとつ「博物館実習」を兼ねているので、三菱一号館についても事前に調べました。明治27年(1894年)にジョサイア・コンドル設計で建てられたレンガ作りの洋風建築を平成22年(2010年)復元し、美術館として利用しています。
「ラファエル前派」は1848年に英国で始まった美術運動ですが、美術館の建築様式もイギリスの建築様式を模しており、またラファエル前派の活動期は20世紀初頭まで及ぶため、この建物の様式は展示されている作品とほぼ同時期の雰囲気を伝えてくれます。

入館後は、作品の特徴などメモをとりながら熱心に鑑賞。
 (この一室のみ写真撮影が可能となっていました)

午後は新橋に移動し、パナソニック汐留美術館で「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」を鑑賞。
午前中のレンガ造りの建物とはうってかわってガラス張りの近代的なビルの4階に美術館は位置しています。


ここでもまずは19世紀象徴主義のフランス人画家「ギュスターヴ・モロー」と企画展のテーマになっている「宿命の女」という概念について予習。
午前中のラファエル前派も後期には象徴主義的な傾向を強めており、「宿命の女」をテーマとした作品も多いので、19世紀後半の英仏の美術運動を平行して見ることができました。

美術館から見た旧新橋停車場(復元)
美術館に隣接して建つ旧新橋停車場は、明治5年(1872年)に新橋ー横浜間で開業した日本初の鉄道が開通した際の駅舎を「新橋停車場」をその遺構の上にできるかぎり復元した建物です。
 ギュスターヴ・モローがサロンで入選した一躍人気画家となったのが1864年。印象派の画家たちが第一回印象派展を開催したのが1874年。午前午後と、明治期の日本と西洋の動きを見ることができる一日でした。


駅正面入り口側

旧新橋停車場前で集合写真。
ホーム側

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