午前中は上野の国立西洋美術館で開館60周年記念「松方コレクション展」。
同館は先年、スイス出身の建築家ル・コルビュジエの設計した建築物のひとつとして世界遺産に登録したことで知られますが、60年前の同館開館には、第二次世界大戦中にフランス政府により接収されていた松方幸次郎のコレクションが戦後になって変換され、変換の条件が国立の西洋美術館を開設することであったことに始まります。
発表は緊張しますね。 |
代表的な作品として「睡蓮」があり、本展も最初の展示作品は美術館所蔵の「睡蓮」。最後の展示作品はフランスで留め置かれている間に傷んでしまい、近年修復が行われた大作「睡蓮、柳の反映」。ということで、事前学習では「松方コレクション」についてとモネの「睡蓮」連作について調べてきました。モネが画業の中で3期に分けて「睡蓮」連作にとりくんでいること、最終的には大作を納める美術館オランジュリーが開設されたことなどを踏まえて、作品鑑賞に臨みます。
戦前の個人コレクションを展示するということで、最初の展示室では従来の作品展示方法とは異なり、壁一面に数段に分けて作品を展示するという20世紀初頭までは個人コレクションの展示で一般的な展示方法がとられていました。
常設展示室ではフィンランドの女性画家たちをとりあげた「モダン・ウーマン」展も開催されていました。いまだ他のヨーロッパ諸国では国立美術学校に女性が受け入れられていなかった19世紀半ば、フィンランドでは女性も国立の学校で美術を学び、奨学金を得て、フランスやイタリアなどへ留学することができたそうです。
午後は目黒にある東京都庭園美術館で「キスリング展」を鑑賞しました。
事前学習として、「キスリングについて」予習するとともに、合わせて彼のように20世紀初頭パリで活動していた外国人画家たちを総称する「エコール・ド・パリ」の画家たちについても学んでから鑑賞。
雨に濡れた新緑も美しい広大な庭を備えた東京都庭園美術館は、アール・デコ様式で建てられた旧朝香宮邸を本館としており、建物そのものやその随所に見られるデザインも見どころのひとつです。事前学習では「東京都庭園美術館とアール・デコ」についても予習。いたるところに贅をこらした邸宅は作品とともに目を楽しませてくれましたね。
キスリングが活躍した時代と旧朝香宮邸の建設時期はかさなっており、ほぼ同時代の建物の中で作品を見るという貴重な経験ができたでしょう。
今期の最後を飾るにふさわしい鑑賞経験だったのではないでしょうか。
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