芸術プログラム「芸術の現場へ3(コース1)」で、夜から明け方にかけてのカエルの声とその変化にみんなで耳をすましてみるイベント「カエル・オールナイト・ピクニック」(KAP)を開催しました(7月5日~6日、協力=玉村町)。発案者であるジャワ舞踊家の佐久間新さんを大阪からお招きし、総勢16名で大学周辺の水田に出かけました。
まずは佐久間さんのレクチャー。鳴いているカエルの声に初めて耳を奪われてしまった時のエピソード。あまりの美しさに一人では受け止め切れず、思わず友人に電話してしまったそうです。ジャワのガムランとカエルの合唱の間には関係があるのではないか、というお話も興味をひかれます。今回は、佐久間さんの地元ではない土地で開催される記念すべき最初のKAPとのことです。
日暮れとともに水田へ出かけると、全方位がカエルの声で埋めつくされていました。この辺りは麦と稲の二毛作ということもあり、ちょうどカエルのシーズンです。いくつものパートが複雑な網目をなし、それが分厚い層になって見渡す限り遠くまで広がっています。合唱のように聞こえる時もあれば、会話しているように聞こえる時もあり、注意の向け方次第でさまざまに聞こえます。
KAPではカエルの声を聴くだけでなく、声や音を出して交信も試みます。「カエルの方もこちらを見ているし、聴いている」と佐久間さんはいいます。実際、こちらの声に反応してくれるカエルがたまにいます。何ともいえず楽しい瞬間です。
よく気を付けているとカエルを目で見ることもできました。アマガエルの他にトノサマガエルもいましたが、実際の声はもっとはるかに多彩でした。
一度休憩して、佐久間さんのジャワ舞踊を拝見。緩急が複雑に変化する独特のリズム。あまり馴染みのないジャワのガムランとカエルの声を重ね合わせてみながら…。
さらに佐久間さん考案の、ペットボトルを使って自分の体を感じるワークショップ。軸を意識してバランスを取りながらゆっくり動きます。
夜が明ける直前に再び水田へ向かいます。
打って変わってカエルたちは大人しくなっていました。ひっそりと静かな虫の声を背景に、ポツポツと徹夜組の声がしています。やがて明るくなるにつれ鳥たちの時間に。
夜の水田でカエルの声に耳を傾ける――。日常から一歩踏み出してみるだけなのですが、「自然」と「体」をじっくり味わう贅沢な一晩になりました。
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