芸術の現場から: 大倉摩矢子さん(舞踏家)
「芸術の現場から」第11回(1月21日)では、舞踏家として活躍されている大倉摩矢子さんにお越しいただきました。
「舞踏」は1960年代に土方巽と大野一雄という二人の前衛的な舞踊家が作り出した独特のジャンルで(はじめは「暗黒舞踏」と呼ばれていました)、現在では世界的に知られるようになっています。大倉さんは舞踏のグループ「天狼星堂」で研鑽を積み、現在は単独で活動されています。
まず舞踏のメソッドの一つである、「イメージで体を動かす(体の状態が変わる)」ということを全員で体験してみました。手に風船が糸で結ばれていて、その風船がどんどん膨らんで宙に浮かんでいくと、手が引っ張り上げられて行く…というイメージの力で手を動かします。ただ「手を上げる」のとは全く違った感覚を味わえるのがわかりました。
このような「イメージ」のメソッドなどを使った大倉さんの舞台の映像を見てから、土方巽による稽古の仕方を大倉さん自身が再現するデモンストレーションが行われました。
「首筋を虫が這っている」とイメージするだけで体が反応する様子が実演されます。いわゆるダンスとも演劇やパントマイムとも違う不思議な身体表現であることが理解できました。
次の三つの写真は、「額から出た糸に引っ張られるイメージで前に歩く」デモンストレーションの様子です。
そろりそろりと、非常にゆっくり、柔らかく進むので、思わず息を詰めて見入ってしまいます。映像ではなかなか伝わらない、生の身体ならではの繊細さと強さです。
最後は大倉さん自身が舞踏を知るきっかけになったという大野一雄の映像を見て、レクチャーは締めくくりとなりました。お話と映像に実演が加わることで大変中身の濃い90分間となりました。
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