2017年5月12日金曜日

西洋美術史実地研修1 H29年度第1回

今年も西洋美術史実地研修1(博物館学実習)が始まりました。
4月始めの全体ガイダンスと事前学習で準備して、4月中旬に第一回研修を行いました。

午前中は上野の国立西洋美術館で「シャセリオー 19世紀フランス・ロマン主義の異才」展と常設展、午後は六本木の国立新美術館で「ミュシャ展」を見ました。

シャセリオーに焦点を絞った展覧会が日本で開催されるのは今回が、初めてということで、あまりなじみのない画家ですね。














ということで、事前学習では「シャセリオーについて」と彼に影響を受けた画家のひとり「ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ」について調べてきました。
テオドール・シャセリオー(Théodore Chassériau 1819-1856)は、古典主義の代表的な画家アングルに、早くも10代初めに入門し、後にはドラクロワらロマン主義の影響を受け、師とは異なる独自の画風を確立します。そして、37歳に早逝するも、その作品が次の世代の画家たち、とりわけ象徴主義のギュスターヴ・モローやシャヴァンヌに多大な影響を与えたことで、近年、注目を集めています。
シャヴァンヌは、パリのパンテオンをはじめとする公共建築に大規模な壁画を制作し、午後に見るアルフォンス・ミュシャが好んだ画家としても知られています。
 
事前学習の発表ののち、入館です。   
シャセリオーの作品とそれに影響を受けたモローやルドン作品が並んで展示されていたり、失われた壁画の再現が試みられていたり、近年の研究成果がつまった展覧会でした。
企画展鑑賞のあとは、常設展も鑑賞しました。去年の世界遺産登録も記憶に新しいル・コルビュジェ設計による展示室
午後は六本木に移動して「ミュシャ展」です。
チケットを買うだけでこの長蛇の列!
それもそのはず、今回の展覧会はミュシャ畢生の大作「スラヴ叙事詩」20点の日本初公開。
 
 実は本国チェコでも長らく公開がされてこなかった作品群が見られるのです。
企画展は主にこの作品を中心に展示されていますが、ミュシャのパリ時代の作品もあるということで、改めて事前学習では「ミュシャについて」と「アールヌーヴォー」について発表。
 (一部撮影可能な展示室もありました)
鑑賞者の背丈と比べると、その規模の大きさが分かりますね。
大作ぞろいなの上に、かなりの混雑でしたが、印刷では分からない画家の細かい筆遣いも見られました。
独特の世界観で描かれた作品群。
 
 
 午前中の「シャセリオー展」で見たシャヴァンヌ作品にも通じる淡い彩色が特徴的です。
装飾画家としての側面が日本では知られていますが、今回の企画展では、それとは異なるミュシャ像を見ることができました。
 
 美術作品を研究する上では、その大きさや、画家の制作の過程などを知ることが重要です。その意味で、実地研修の授業は貴重な作品を実際に目で子細に見ることができる貴重な機会になっています。 
 次回はどんな素敵な作品と出会えるでしょうか?
 

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