2017年5月31日水曜日

西洋美術史実地研修1 H29年度 第2回

H29年度「西洋美術史実地研修1」の第二回目研修が5月半ばに行われました。
午前中は上野の東京都美術館で「ブリューゲル『バベルの塔』展」。今年目玉の展覧会です。
まずは事前学習に基づいて発表。
         
描かれた「バベルの塔」の高さは東京タワーよりも高いそうです。
 今回の展覧会は表題には目玉作品のタイトルが来ていますが、ボスとブリューゲルの関係、彼らを中心に16世紀の北方美術を概観するという概要になっています。それに合わせて、課題として「ヒエロニムス・ボスについて」と「ブリューゲルについて」を調べてきました。ブリューゲルが初期には当時流行っていた「ボス風」の画家として出発したこと、イタリア旅行、ブリュッセルやアントウェルペンのパトロンとの関係などを簡潔にまとめた発表が行われました。

 今回の目玉作品「バベルの塔」はロッテルダムのボイマンス美術館所蔵作品。実はこれに先立つ20年ほど前にブリューゲルは第一作の「バベルの塔」(ウィーン美術史美術館)を制作しており、今回の展示作は二作目に当たります。
実はイタリア滞在期にも一点、同主題作品を描いていたらしいのですが、そちらは現存しません。とはいえ、イタリア旅行で見た遺跡コロッセオの記憶が第1作、第2作ともに「バベルの塔」の造形に活かされています。
 
 ボイマンスの作品は第一作よりさらに小さいサイズですが、背後の風景や細かいところまで描き込まれており、会場では拡大写真や動画で詳しく見られるような工夫がされていましたね。それらの拡大画像を見て気付いたところを、また作品で見直すという見方をしていた人もいたようです。

午後は丸の内の三菱一号館にて「オルセーのナビ派展」を見ました。


こちらは19世紀末から20世紀初頭のフランスの芸術家グループ「ナビ派」についての日本初の展覧会です。



事前学習では「ナビ派について」とナビ派のなかの一派である「親密派(アンティミスト)について」を学んできました。
 このグループは1890年代に画家ポール・ゴーギャンに手ほどきを受けたポール・セリュジェやモーリス・ドニ、エドゥアール・ビュイヤール、ピエール・ボナールらを中心に形成されました。「ナビ」はヘブライ語で「預言者」を意味します。「絵画とは一定の秩序のもとで色が塗られた平面」であるというドニの言葉通り、平面性と装飾性の強い作風で知られ、ポスター・デザイン、テキスタイル、舞台芸術などの分野でも活躍した「ナビ派」はアールヌーヴォーの先駆者ともいえます。
雨でぼやけているところが、ちょっとナビ派の絵のよう。






彼らのうち、親しい友人や家族、日常や仕事の情景を描いた室内画を主に描いたビュイヤール、ボナールは「親密派」と称されます。彼らの描く作品はやわらかい光線で包まれ、どこか「親密」な様子が窺えることから、このように呼ばれました。

あいにくの雨でしたが、中庭では薔薇が咲き誇っていました。
今回の展覧会は午前に16世紀オランダ、午後に19世紀末フランスと全く違った趣のものでした。どちらにより感銘を受けたでしょう?






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