2022年5月16日月曜日

R4年度「西洋美術史実地研修1」第一回研修

「西洋美術史実地研修1」の第一回研修を行いました。 本授業は、学芸員資格科目ともなっており、博物館施設の実態を学ぶ授業でもあります。 そこで本年度、第一回目は高崎市美術館で開催中の収蔵作品展「あの風景を探しに美術館へ」へ行ってまいりました。
 高崎市美術館は高崎市出身あるいや高崎市にゆかりのある芸術家や彼らに影響を与えたピカソやシャガールなどエコール・ド・パリの作品を主に収蔵しており、今回の展覧会はそれらのコレクションを基に「風景」をテーマに展開しています。

 展覧会を鑑賞前には、同美術館の柴田純絵学芸員から高崎市美術館のコレクション方針や今回の展覧会についてのレクチャーを受けました。

美術館のコレクション傾向を反映し、同店ではピカソやシャガール、彼らに影響を受けた高崎市出身の山口薫、藤田嗣治、国吉康雄といった日本からヨーロッパ、アメリカに出て活躍した作家から現代アメリカ美術を代表するロバート・ラウシェンバーグによる写真コラージュまでの作品を見ることができました。




ヨーロッパ、アメリカ、中東、アジア、アフリカといった世界中の風景による「旅日和」を展開した展覧会ですが、実際の風景を観察して描いた風景画だけではなく、アーティストの心象風景を映し出した作品も展示されており、「風景」という切り口で多彩な作品を提示する工夫を、展覧会から見てとることができたのではないでしょうか。

1階から3階までの展示室を巡る間の通路には、風景に描かれた場所を示す図も示され、実際の景色と描かれた景色の違いを頭の中で比べることができたかもしれません。


 展覧会鑑賞後は高崎音楽センターの設計者であるアントニン・レーモンドのスタイルを取り入れた井上房一郎旧邸も見学しました。井上氏は高崎市の文化芸術の発展に大きく寄与した人物であり、今回の展覧会では井上氏ゆかりの作家作品も展示されていました。この井上房一郎旧邸と高崎市美術館のコレクションを共に見ることで、文化を根付かせ、それを受け継ぎ、残していくための努力について考える機会になったのではないでしょうか。
 高崎市美術館の柴田学芸員ならびに職員の方々にご配慮いただきながら、第一回実地研修を終えることができました。
 本授業は、今年度も新型コロナウィルス感染拡大防止対策を取りながら、美術館・博物館見学を続けていきます。

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