岡部昌幸先生にお越しいただきました。
岡部先生は、帝京大学大学院文学研究科日本史・文化財学専攻教授でもあります。
そこで美術館と大学、両方に携わるお立場からのご講義となりました。
授業は「学びの場とは何か」という問いかけから始まりました。大学の起源のお話などをうかがいながら、大学の在り方や自身の学びについて考え直す機会となりました。
また、横浜美術館の設立や東京ステーションギャラリー、東京都庭園美術館の運営のご経験について、学芸員秘話をまじえて話してくださいました。
日本の美術館の特徴と素晴らしさは、設立背景のほとんどがトップダウン型ではなく、現場で草の根的に始まっていること。特に1980年代、1990年代に現場が美術館をつくってきたこと。
その時期に学芸員として活躍していた方の、まさに日本の美術館の歴史の証言です。
「芸術に上下はあるのか?」と問いかけ、理由づけしていくのが学芸員の仕事でもあると学芸員の誇りを伝えてくださいました。
群馬県立近代美術館の写真を背景に |
群馬県立近代美術館は、地域に関わる、地域の美術館。「ゆかり作家」の収集・企画展も行っている。
美術館とは、ふと思い立って行くところ。群馬の森にある近美は、樹木の下で授業をしていた古代ギリシャの哲学者プラトンの学園を思わせる。美術館でも大学でも、すべて情報や知識は人間から人間へと伝わっていく。
美術館の仕事は、誰かに役に立っている、職員全員にとってやりがいのある仕事。
館長の仕事は「たすけてください」ということ。人・予算・作品を、楽しみをもって増やしていきたい。
そんな言葉が印象的でした。
また、24時間教育者でありたいと語るお姿に、学びに関わる皆が心を動かされたのではないでしょうか。
本学から距離的に近い「近美」にさらに親近感をおぼえました。
岡部先生の「理想の美術館」が実現する日を心待ちにしています。
ご講義をどうもありがとうございました。
*現在、群馬県立近代美術館では、岡部館長監修の「サラ・ベルナールの世界展」が開催中です。
2018年9月15日(土)~11月1日(日)
美術館ウェブページ http://mmag.pref.gunma.jp/exhibition/index.htm
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平成30年度「芸術の現場から」
10月~来年1月 火曜16:20~17:50 群馬県立女子大学 新館1階第1講義室にて
スケジュールはこちらをご覧ください。
https://www.gpwu.ac.jp/dep/lit/art/2017.html
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