佐藤麻理子先生にお越しいただきました。
佐藤先生は、本学文学部美学美術史学科の卒業生です。これまでに数多くの展覧会の企画・運営に携わってこられました。昨年度に続き、ご講義いただきました。
今回のご講義は「メディアと文化事業――展覧会の現場より」というタイトルで、
おもに国立西洋美術館との共催事業に焦点を当ててお話してくださいました。
TBSと国立西洋美術館との共催展 |
TBSテレビは「カポディモンテ美術館展」(2010年)以降、毎年1~2回のペースで
国立西洋美術館と共催の展覧会を続けています。
このような展覧会は新聞社も共催者となり、学術面は美術館の学芸課が、
そして実務面はメディアが担当して事業が進められます。
とはいえ、美術館とメディアそれぞれの視点があるためにバランスをとりながら、
同じベクトルを向くように日々作業をしているそうです。
「ルーベンス展」広報資料 |
現在、国立西洋美術館では共催事業の「ルーベンス展――バロックの誕生」が
開催中です。
ペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640年)は、フランドルのアントウェルペン
(ベルギーの都市、英語名アントワープ)に大工房をかまえ、広くヨーロッパで活動した画家です。『フランダースの犬』のアニメでご存知の方も多いでしょう。
主人公の少年ネロが憧れていたあの画家です。
「ルーベンス展」チラシ |
佐藤先生は、2015年の企画当初から現在進行形の広報活動に至るまで、
現場ではどのような状況であるのか、企画成立前の段階から順を追って話してくださいました。
ひとつの展覧会が開催されるまでには、国内外における様々な人々の協力があり、
また年月をかけた用意周到な準備のみならず、臨機応変な対応も必要とされることを知りました。
圧倒的な空間を演出する会場と、じっくり読む図録とでは構成にも異なる工夫をこらし、開催中も何百という媒体を介したメディアによる広報を続けていきます。
最後に「展覧会は誰のもの?」と原点に帰り、メディアとして皆さんのために
良い展覧会を届けることが大切だと語られました。
佐藤先生の展覧会のお仕事は、国立西洋美術館との共催事業のみではありません。
たとえば、昨年度は同時進行で新国立美術館と「ジャコメッティ展」を共催しています。図録は今年の「第59回全国カタログ展」において、「国立印刷局理事長賞」と
図録部門の「部門賞 銀賞」を受賞しました。
来年秋には、国立西洋美術館との共催で「ハプスブルク展」が開催予定です。
一年後が楽しみですね。
佐藤麻理子先生、ご講義をどうもありがとうございました。
・「ルーベンス展――バロックの誕生」特設サイト:
https://www.tbs.co.jp/rubens2018/
・「芸術の現場から」2017年度 佐藤先生ご講義ブログ:
http://kenjo-bigaku.blogspot.com/2017/12/blog-post_6.html
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平成30年度「芸術の現場から」
10月~来年1月 火曜16:20~17:50 群馬県立女子大学 新館1階第1講義室にて
スケジュールはこちらをご覧ください。
https://www.gpwu.ac.jp/dep/lit/art/2017.html
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