2019年10月19日土曜日

「芸術の現場から」(県民公開授業) 映画配給の中野理惠先生による御講義

リレー講座の第2回(2019.10.15)は、映画の分野から、中野理惠先生(株式会社パンドラ代表取締役)にお越しいただきました。パンドラは、映画・映像の製作・輸入・配給を主な業務とする会社です。先生の御著書に『すきな映画を仕事にして』(現代書館、2018年)があります。

今回は、映画の配給をテーマに「映画が観客に届くまで」というタイトルで、外国映画の魅力を日本の観客にどのように伝えるのかというお話をうかがいました。

『エルミタージュ幻想』(ロシア、ドイツ、日本、2002年)

映画の配給業務とは、映画を観客に届けることであり、製作と興行(=上映)を繋ぐ役割を果たすもの、と説明する中野先生。
何本もの外国映画を実例に、最初の映画選びから、公開劇場との契約や邦題検討、字幕付け、宣伝など、上映に至るまでの課程を教えていただきました。

パンドラ設立のきっかけとなった『ハーヴェイ・ミルク』(アメリカ、1984年)

皆が驚いたのは、タイトルと広告デザインの意外性です。
原題の直訳や同じポスターデザインでは、歴史や文化が異なる日本では馴染まない、あるいは魅力が伝わらないものもあるため、日本の観客の感性に訴えかけるよう全く異なる観点から邦題やポスター、チラシを生み出すこともあるそうです。
その鮮やかな変わりように、教室からは歓声が上がりました。

『聖なる泉の少女』(ジョージア[グルジア]、リトアニア、2017年)

学生たちからは、映画配給の契約方法や興行成績、日本の観客の嗜好など、多岐にわたる質問があり、映画配給というクリエイティヴなお仕事に対する関心の高さがうかがわれました。

最後に、若い学生たちに向かって、将来どのような仕事に就くにしても、今のうちから、評価の定まったいい本を読み、映画や音楽、美術などの一級品に多く接すること、審美眼を養うことが大切、と語ってくださいました。

中野理惠先生、素敵なご講義をどうもありがとうございました。

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2019年度「芸術の現場から」 2019年10月~2020年1月
火曜 16:20~17:50 群馬県立女子大学 2号館2階 CALL2号教室にて
スケジュールはこちらをご覧ください。
https://www.gpwu.ac.jp/dep/lit/art/schedule.html

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