2021年6月7日月曜日

2021年度「芸術の現場から」5月31日 明珍素也先生によるご講義

5月31日の授業には、明珍素也先生をお迎えして、「彫刻の保存修理ー日本の文化財を対象とするー」と題してご講義を頂戴しました。明珍先生は、仏像などの立体的な文化財の保存修理をする工房である株式会社明古堂の代表で、武蔵野美術大学客員教授も務められています。

今回のご講義では、まず仏像の様々な造像技法やの解説から始まりました。一木造、寄木造、割矧造といった各技法について、わかりやすい説明があり、次いで木彫の場合の樹種にも触れられました。次に、仏像にはどのような荘厳がなされているか(荘厳は仏を飾ること、この場合は仏像の表面にどのような仕上げを施すかということ)について説明があり、制作・修理に欠かせない漆のお話しもなされました。


後半では、具体的な修理事例における様々な問題が紹介されました。修理技術の解説はもとより、文化財修理の方針や理念などについて、幅広いお話しがありました。現在基本となっている保存修理は、推定などによる復元は極力避けて、現在残されている姿がそのまま後世に伝えられるように修理するという方針で行われるということで、必ずしも修理後の見た目がいわゆるピカピカになるわけではないとのことです。

また、修理の方針によっては、一度部材を全て解体してバラバラにしてしまうこともあり、解体された様子も画像により説明されました。


ご講義の全編にわたって、修理現場でしか得られない貴重な画像が豊富に用いられ、学生一同、終始引きつけられながら90分が過ぎてしまいました。

大変得がたいご講義ありがとうございました。

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