2022年7月5日火曜日

R4「西洋美術史実地研修1」第3回研修

 第3回目の研修では東京のアーティゾン美術館を訪れました。

 
 アーティゾン美術館は東京駅そばに2020年1月にオープンした美術館。とはいえ、その前身であるブリヂストン美術館は、1952年開館。コレクションは西洋・日本近代に加え、古代ギリシアの壺絵なども含めた豊富なコレクションで知られています。アーティゾン美術館としての開館後は現代美術の企画展も活発に行っています。
 訪問した日も三つの展覧会が開催されていましたが、今回の研修では西洋・日本の近代美術を取り上げた「Transformation 越境から生まれるアート」と「コレクション展」を鑑賞しました。


「Transformation」展では「越境」をキーワードにして、印象派の巨匠ルノワールによるルーベンスの《パリスの審判》の模写で始まる最初のセクションでは、ヨーロッパ各地の美術館を訪れて鑑賞した名画からどのような影響を受けたのかが検証されていました。

 

 このセクションでは、ルノワールが各地の美術館で見た名画とそれに対するルノワール自身の言葉が壁に映し出されており、同じセクションにあるルノワールの作品と対比しながら見ることで、「越境」がルノワールに何をもたらしたのかを、見ることができるようになっていました。

リニューアルした新しい美術館ならではの展示の工夫といえるでしょう。

 
愛らしい《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》は注目の的。
皆、メモをとりながら熱心に鑑賞。

次のセクションでは藤島武治や藤田嗣二などヨーロッパへ渡航した日本の洋画家たちが取り上げられていました。
藤島武治の素描帳には、西洋の彫刻の素描やピュヴィス・ド・シャヴァンヌの壁画の写しなどが。

 小杉未醒(放庵、放菴)《山幸彦》にもピュヴィス・ド・シャヴァンヌの影響がうかがえます。

西洋と日本の近代画家たちの「越境」に次いで後半セクションでは、20世紀初頭から第二次世界大戦後の美術における作品の移動、人の移動、美術の国際化といった「越境」と「変化」が、スイス出身の抽象画家パウル・クレーとパリとアメリカで活動した中国人画家ザオ・ウーキーの作品によって語られていました。
ロベール・ドローネーからパウル・クレーへの影響、
 そしてクレーからザオ・ウーキーへ


企画展の鑑賞を追えて、続いて「石橋財団コレクション選」展へ。

こちらは19、20世紀近代美術中心に美術史の流れを追うような展示構成になっており、これまで西洋美術の授業で学んだことの良いおさらいにもなったのではないでしょうか。
特集コーナーでは「ピカソとミロの版画」が展示されており、教育普及企画でもあるので、様々な版画の技法が解説されており、その道具も展示されていたのも勉強になりましたね。

一つの美術館だけでの研修でしたが、アーティゾン美術館の豊富なコレクションのおかげで多種多様な作品を見ることができました。









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