2021年5月20日木曜日

2021年度「芸術の現場から」多胡邦夫先生(TAGO STUDIO TAKASAKI)によるご講義

5月17日の授業には、作曲家・音楽プロデューサーの多胡邦夫先生にお越しいただきました。

多胡先生の作詞・作曲による「home」(歌:木山裕策)は、2008年NHK紅白歌合戦出場曲であり、多くの人々に愛され続けています。
先生は、2014年に高崎市と設立したレコーディングスタジオ TAGO STUDIO TAKASAKI の運営責任者もなさっています。

ご講義では、これまでの音楽人生やスタジオの活動についてお話してくださいました。
幼少期に、枠組みから外れたことをしても評価されるという体験をしたことが、その後の人生に大きな影響を与えた、と語ります。
中学生時代にロックバンドを結成し、全国各地のコンテストで優勝を重ねます。その後、上京して作曲家をメインに活動。
作曲家が自分の天職(本気でやっていかなければならない仕事)だと初めて思えたのは、「home」を作曲してから。全国キャンペーン中に直接、ファンの皆様から感想を伝えられたことがきっかけに。
スタジオ風景

高崎市からの依頼を受け、行政と音楽家が協力してレコーディングスタジオを設立することに。行政上の難題を乗り越え、いくつかの奇跡にも恵まれて、夢の実現となりました。
選りすぐりの機材や雰囲気づくりに配慮した環境を整えた、全国に例を見ないレコーディングスタジオです。

高崎を盛り上げるためにできること。全国に発信できること。
ミュージシャンたちが自分たちの音楽を対価に、高崎に貢献してもらえること。

音楽活動の経験と実績を活かしたコンセプトによって、高崎市民のためのプレミアム・ライブや、若手育成のためのミュージックフェスティバル、子どもたちのためのイベントなどが開催されています。また、カフェは市民の憩いの場にもなっています。

今回、授業のために、特別にスタジオ内を撮影した映像を見せてくださいました。
制作者たちへの配慮が一つひとつの作品へのこだわりへと繋がっていることがわかりました。 そして、メジャーアーティストたちによる壁一面のサインからも、スタジオの重要性や存在意義が伝わります。

Made in Takasaki のヘッドホン

「小さな運は自分の努力で呼び込める。
 だけど、大きな奇跡は自分ではコントロールできない」

何かを達成するには、周囲の協力があってこそのものなのだと、あらためて気づかされました。

多胡先生のお話に惹き込まれ、教室は優しさと情熱に包まれていきました。

素敵なお話をどうもありがとうございました。


TAGO STUDIO TAKASAKI http://tagostudio.com/

2021年5月19日水曜日

「芸術の現場から」 デザイナー       小佐原孝幸先生

5月17日の「芸術の現場から」の講義、 講師はデザイナーの小佐原孝幸先生です。  先生は2009年よりひたちなか市のデザインによる活性化プロジェクトに携わられています。 2014年、ひたちなか市で功労表彰され、2015年、地域性をとりいれた『ひたちなか海浜鉄道湊線駅名標』で グッドデザイン賞を授賞されています。 講義ではまず「デザインの役割とは問題解決である」という定義を掲げられ、お話しされました。 問題は社会の中に多くあり、今回メインでお話しされました「駅名標デザイン」もひたちなか海浜鉄道湊線(以下湊線)が 抱えている問題を解決するためにデザインされたものでした。先生は、廃線の危機にあった湊線で、沿線の史跡や特産物を 取り入れた駅名標のデザインでひたちなか市の活性化に取り組まれています。  具体的にはとても興味深い3つのプロジェクトのお話をしていただきました。 1、広告媒体として使える駅名標デザイン 湊線の沿線にはたくさんの観光資源があります。その1つの駅「阿字ヶ浦駅」は温泉や海水浴場があり、 美味しいアンコウが水揚げされています。そこで先生は「阿字ヶ浦」の文字に観光資源である温泉マークや アンコウのイラストをとりいれ、それをみた人が地域に興味を持ってくれるような、そんな駅名標のデザインをされました。 読みやすい文字にするデザインではなく、考えてもらうデザインです。 みた人が感覚的に・能動的に理解できるデザイン、広告媒体として使える駅名標デザインを目指されて作られたとのことでした。
2、観光案内板のデザイン 駅名標デザインが評価されたことで、観光案内板のデザインにつながったようです。 駅名標と同じ考え方を取り入れた、観光資源のイラストと文字が融合した新しい観光案内板です。 例でお話しされた「華蔵院」駅名標デザインの「院」という文字には三角をつけたデザインが入っています。 その三角について、クイズ形式で受講生たちに問題を出されていました。 答えは猫の耳。華蔵院には古くから化け猫の民話が伝わっていることから取り入れた三角でした。 その他、幾つものデザインを紹介いただき、いずれもユーモアが感じられるとてもわかりやすいデザインで学生たちも興味津々でした。
3、フィナンシェ「駅名菓 トレンシェ」のデザイン ひたちなか市は障がい者就労訓練の場として、加工食品やクッキー、パウンドケーキ等お菓子を製造販売しています。 売上は、障がいを持つ方々の支援として、ひたちなか市の社会福祉法人「ハートケアセンターひたちなか」で役立てているものですが、 それらのお菓子が売れないと作業工賃も上がらないとのことでした。作業工賃向上は障がい者への支援として、重要な課題となっているようです。 小佐原先生がデザイン依頼されたものは駅名標と同じデザインをパッケージに取り入れたお土産用のフィナンシェ「駅名菓 トレンシェ」です。 パッケージの色から想像できる味(ピンクはイチゴ味、緑は抹茶味など)にし、食べる人たちがコミュニケーションしやすいデザインです。 駅名標が新聞、テレビ、インターネットなど様々なメディアに紹介された相乗効果もあり、現在売上げが伸びできているようです。 そのおかげでお菓子を製造する人々の工賃が少しずつ改善されてきているとのことでした。 デザインによる支援のつながり事例を分かりやすくお伝えいただきました。
最後にご自身がデザインされているフォント(文字デザイン)の話もしていただきました。 駅名標や案内板のベースになっているフォントは、小佐原先生のオリジナルです。 文字に取り入れられているイラストは、統一感を出すために、フォントの柔軟性が必要になってきます。 このオリジナルフォントの特徴は、正体、長体(縦長)、平体(横長)にも対応している点です。 様々なイラストと組み合わせてもイメージを合わせることができる優れたデザインで、圧倒されました。
最後の質疑応答では、学生たちからいつも以上に多くの質問があり、時間目いっぱいまで応えていただきました 。中でも印象に残った質問内容は「駅名標デザイン」の最初のきっかけについてです。 「駅名標のデザインは依頼されたものではなく、自身が鉄道会社へ提案したアートプロジェクトの作品だった」ことでした。 提案型のため、最初のデザイン料などは発生せずに展示されたもので、それが評判を得て本格的なデザイン仕事につながったとのことでした。 もう1つの質問からは、先生の論理的な思考は、ピタゴラスイッチで有名な佐藤雅彦先生に学生時代教授されたものだということもわかりました。 今回の小佐原先生のわかりやすいデザインのお話で学生たちも日常に溢れている文字デザインの興味が湧いてきたと思います。 大変貴重なご講義、ありがとうございました。

2021年5月7日金曜日

2021年度「西洋美術史実地研修1」が始まりました。

1年越しに「西洋美術史実地研修1」の授業が始まりました。 この授業は美学美術史学科の専攻科目として、また学芸員資格科目として例年、県内外の美術館・博物館施設にて展覧会を鑑賞し、博物館施設の様々な仕事、様態を学ぶ授業です。
 快晴に恵まれた4月の週末、群馬の森のなかにある群馬県立近代美術館を訪れました。


午前に常設コレクション展、午後に企画展「デミタスカップの愉しみ」を見学します。 事前に体温や健康状態などを書き込んだ入館票を用意して入館。 今回は常設展見学前に美術館の概要、常設展の見所について学芸員の方から特別にレクチャーをしていただきました。 講堂にて、普段は見られない美術館の舞台裏などもスライドにて見せていただき、美術館の仕事をかいまみることができました。
「作品をじっくり見てください」というアドバイスを受けたこともあり、一点一点かなりじっくり鑑賞。 昼前の集合までに見きれなかったようで、午後に再入場した学生もいた模様。


常設展ではこちらの作品のドローイングも見られました。
この日は担当学芸員による解説会の日だったので、鑑賞前にそちらにも参加。 西洋の磁器の歴史や収集の話に始まり、今回展示されているデミタス・カップの注目作品について丁寧な解説があり、よい予習になったようです。
ヨーロッパ各地の磁器工房が競うように作られたジャポニズムのデミタスや、新しいデザインを志向したアール・ヌーヴォーやアール・デコのデミタス。
      

ガラス製や内部まで絵柄があるものなど凝った技法のカップの数々が並び、まさに「たなごころの美」を愉しめる展覧会でした。

2021年4月20日火曜日

2021年度 「芸術の現場から」が始まりました!第一回 大川美術館館長 田中淳先生

一年越しに「芸術の現場から」の講義が始まりました。 外部の講師の方をお招きして、それぞれの芸術の現場のお話をいただく講義です。 昨年授業できなかった学生も今年はたくさん参加しており、76名の受講生がいます。 4月19日、前週のガイダンスを経て、第一回の講師の先生がいらしてくださいました。 群馬県でも有数のコレクション数を誇る大川美術館の館長田中淳先生です。 先生は国立近代美術館、東京⽂化財研究所を経て現職という経歴をお持ちです。 年間4本の企画展を開催し、コロナ禍ではありますがSNSでの情報発信など活発に行っています。 講義ではまず1,2年生が多いということで、 群馬県の美術館はどこにあるのか、その位置関係と地図も用いてわかりやすく伝えてくれました。 群馬県には実に多くの美術館があり、首都圏の中でも注目すべき美術館がたくさんあるという事、 在学中に何度でも足を運んでほしいとおっしゃっていました。
そして、本題の「大川美術館について」に入ります。 概要、コレクションについて、活動と展覧会という流れで、とても分かりやすくお伝えいただきました。 大川美術館が私立のコレクションを核とした美術館であること、大川栄二さんが松本俊介の作品に どのように出会い、そして関連するだろう作家の作品を収集していったか、など興味深いものでした。 貴重な資料や公立美術館とは異なる収集の仕方、また作品数に圧倒されました。
最後に「こども×アート×まち」という大川美術館の取り組みもご紹介していただきました。 地域に根差した美術館として、これまでの活動や、今後の展望もお話いただきました。 また、本日より開催の展覧会、夏の企画展の見どころや出品作家の情報も、 聞いたらすぐに見に行きたくなる気になってしまいますね。
学生たちもこれから美術館にたくさん足を運びたいという気持ちが高まってきたと思います。 大変貴重なご講義、ありがとうございました。

2021年3月1日月曜日

群馬アートオークションに本学の学生が参加しました。

2月27日(土)に群馬県庁で開催された第1回アートインキュベーション32(群馬アートオークション)に 本学学生が出品、ボランティアスタッフとして参加しました。 本事業はアートの力で群馬を元気にし、県民が心豊かな生活によって誇りと幸福感を持てる群馬の創造を目指すため、 またオークションを通じて、本県ゆかりのアーティストへのキャリア支援を行うとともに、 自立したアーティストがワークショップなどのアート教育やアートを通じた地域振興の担い手として活躍することを期待しているとのことです。 初めての試みだったため、開催日まで出品者は二次の選考を経て、 自身の作品をPRする動画撮影などを行い、準備を進めてきました。 また、スタッフはマネジメントを行ったAGホールデングズのかたよりzoomでオークションについて 説明会を開催していただき、前日のリハーサルなどを経験し、当日を迎えました。 会場では多くのお客様がいらして報道関係の方も多く、 熱のこもった風景が見られました。
県知事のご挨拶からスタートし、出品された21作品が次々に落札されていきました。 学生たちは会場の誘導や、作品前でのご案内、落札された方への連絡など 対応し、事業の一端を担うことが出来ました。 出品学生も無事に作品が落札され、「良い経験をした!」と安堵の様子で見守っていました。 大学では味わうことの出来ない、貴重な体験をすることが出来ました。
会場でスタッフをつとめた学生たち
群馬県知事とオークションの進行をされた柴山さん
展示場所でのご案内もしました

2021年2月15日月曜日

アートマネジメントゼミ生が「美術館アートまつり」に参加しました

2月14日に群馬県立近代美術館で開催された「美術館アートまつり」にて、 今年もアートマネジメントゼミ生が「ふわふわかわいいタオルペット♥」の企画、実践を行いました。 この企画、実は昨年3月に行う予定だったものなのですが、 臨時休館で、やむなく延期になり、今年バージョンアップして行われたものになります。
今回は感染症対策を徹底し、事前予約、定員制というかたちでの実施になりました。 毎回次々と訪れるお客さんでワイワイにぎわうのですが、 今年はしっかりソーシャルディスタンス、ゆったりと開催することが出来ました。 広い展示室では、本企画の他にも作家さん企画のプログラム、展覧会ポスタープレゼント、 常設展での作品鑑賞プログラムと4つの内容を楽しむことが出来ました。
かわいいペットたちをご家族で作ってくれたので、 たくさん遊んでほしいと思います! 次回は3月14日です。 *すでに予約は定員になりました。 詳しくは美術館HPをご覧ください。 http://mmag.pref.gunma.jp/art-event/R2artfes.htm

2021年1月20日水曜日

実技ゼミ卒業修了制作展が始まりました!

1月18日~実技ゼミ卒業修了制作展が本学実技棟ギャラリーで始まりました。 コロナ禍ではありますが、今年も力強い作品がたくさん展示されています。 ぜひご高覧ください。 また、県女アワードとして投票も受け付けています。 本学関係者の方で投票用紙をお持ちの方はぜひ投票をお願いいたします。 1月18日(月)~2月5日(金) 10時~17時(最終日は15時まで) 土、日休み 会場:本学実技棟ギャラリー